走れ、キヨシ! DeNAが巨人に走り勝ち、5月16日以来となる連勝を飾った。1回に四球で出塁した石川雄洋内野手(28)が、1死一、二塁から筒香の二ゴロ併殺崩れの間に、一気に本塁を陥れた。積極走塁を生かし、無安打で先制すると、同点の8回にも筒香が三ゴロ野選でチャンスを広げ、バルディリスの決勝打に結びつけた。中畑清監督(61)も絶賛した「全力・全員野球」で、8カードぶりの勝ち越しを決め、借金を1に減らした。

 総力戦で大型連敗を止めたDeNAが、今度は「走力戦」で連勝を決めた。1回から快足を飛ばした。先頭石川の四球から1死一、二塁の先制機をつくり、二ゴロに倒れた4番筒香が併殺を阻止しようと全力疾走で一塁へ駆け込んだ。際どい判定に巨人内野陣が一塁塁審に目をやった。その一瞬のスキに、二塁走者の石川が「阿部さんはゲッツーのときに判定に意識がいきがちなのでいけると判断した」と三塁を蹴って一気に本塁を陥れた。

 状況分析と積極走塁を融合させ、無安打で先手を奪い取ると、同点の8回も「足」で勝機を呼び込んだ。無死一塁と2番手の山口を崩しにかかろうとしたときだった。今度は筒香の三ゴロで一塁走者の梶谷の足が名手井端の送球を制し、野選でチャンスを拡大。1死一、二塁から、バルディリスの決勝適時打で勝ち越しに成功した。その裏の守備では、2死一塁で一ゴロを捕球したロペスが、一塁ベースへとグラブを伸ばしながら猛然と頭から滑り込んで間一髪のアウト。好守で相手の反撃を阻止した。

 ユニホームを泥だらけにし、地面をはいつくばって、39日ぶりの連勝をもぎ取った。ベンチでグルグル右腕を回した中畑監督は「(石川が)積極果敢に相手のスキを突く、好走塁でみんなに元気を与えてくれた。あの走塁は今日の試合のポイントだった」と大絶賛。チーム屈指の韋駄天(いだてん)、梶谷についても「足のある選手というのはあらためて魅力的だと感じさせてくれた。スピード感がある野球は気持ちがいい」と、足で稼いだ1勝に大きな価値を見いだした。

 12連敗のどん底で乗り込んだ敵地で連敗を止め、8カードぶりの勝ち越しまで決めた。「いい野球をすれば勝てるということを実感できた2日間だった。東京ドームから笑顔で帰れるとは思わなかったよ」と中畑監督。連敗街道の次は、連勝街道を突っ走る。【為田聡史】