小さな大魔神ことDeNA山崎康晃投手(22)が、マツダオールスターゲーム2015ファン投票で、新人投手としては球団史上初めて選出された。抑えの新人としては90年の中日与田以来2人目となるファン投票トップだ。

 オールスターの大舞台でも山崎康の強心臓ぶりは変わらないだろう。「パを代表する打者から3球三振を狙いたい」と宣言した。特定の選手はいない。強打者なら誰でもいいし、緊張もしないはずだ。球団では新人のファン投票選出は74年・山下以来。新人投手に限れば球団初のこと。そんな一大事にも「あまり味わったことがないので楽しみです」と笑顔で話す。

 普通の人なら萎縮するような場面の方がいい。1点差が一番好きだ。ここまで34試合に登板し、セーブ機会21回で失敗はゼロ。1失点は危険球退場した際のもので、実質的に点を失ったことがない。逆に4点差以上では13試合に登板し6失点している。「点差がない方が気持ちは入ります。7点差とかは難しいです」と正直に言う。

 入団当初は先発で期待されたがオープン戦で結果が出ず、抑えに回って才能が開花した。捕手黒羽根が「抑えになってからではストレートの力が全然違う」と言えば、二塁手石川も「打球が飛んでくる気がしない」と言うほどに変身した。

 毎日でも投げたい方だからブルペン向きだ。12連敗中は6月13日から10日間も登板できない日々が続き「難しかった」と振り返る。自主トレの時には3週間で17日の練習日のうち11回もブルペンに入った。立ち投げも捕手を座らせるのも新人一番乗りだった。

 適材適所。抜てきした中畑清監督(61)も「心臓が強い。人気だけじゃなく内容も選ばれるに値する」と、自信を持って大舞台に送り出す。登場する際の歓声はチームで筒香とトップを争う。「アドレナリンが出ます!」。オールスターではまさに全開だ。【矢後洋一】