DeNAが、今季初めて5位に転落した。2点差の9回に後藤武敏内野手(35)が阪神の守護神、呉昇桓から2試合連続の代打本塁打となる4号ソロを放つも、追い上げ及ばず。6月3日には貯金8で首位にいながら、約1カ月で借金3の5位まで急降下。歴史的な混セの中で踏みとどまれるか。ここが踏ん張り時だ。

 後藤の打球が右翼ポール際に飛び込むと、横浜スタジアムのボルテージは最高潮に達した。2点ビハインドで迎えた9回裏。阪神の守護神、呉昇桓から2日連続の代打弾で差は1点。同じ2点差をはね返してサヨナラ勝ちした前夜の再現なるか-。そんなスタンドの期待も届かず、5位転落。中畑監督は「日替わり順位だな。頑張っていきましょう。後ろ向きになるわけにはいかない」と、必死に前を見据えた。

 サヨナラ勝ちした翌日はこれで3戦3敗と波に乗りきれない。この日は中継ぎ陣が踏ん張れなかった。2-3と1点差に追い上げた直後の6回に、2番手小杉が福留に3ランを被弾。同じく1点差まで迫って迎えた9回には、エレラが2連続二塁打でダメ押しの1点を失った。中畑監督は「もっともっと勝負にいかないと。ゲームをつくるための信念が足りないと思う」と指摘。今季だけで7発を献上している福留を引き合いに「安全に安全に、という配球が気持ち良くスイングさせてしまってる。気持ちを前面に出していかないと勝ち試合をつくれない」と闘争心を求めた。

 1カ月前に首位を走っていた時は、投手陣と打線の歯車はかみ合っていた。この試合も、打線は最後まで闘争心を失わなかった。9回の1発で現役では最多10本目の代打本塁打となった切り札・後藤は言う。「昨日の1打席がすごく意味のある打席だった。(2試合連続弾で)どうこうはない。明日のヒットをどう打つかに切り替えてます。一喜一憂してたら(代打は)務まらないので」。

 ここまで19回の逆転勝ちを支えてきたのは、中継ぎ陣の奮闘があったからこそ。中畑監督も「僅少差でいく投手の継投。その見極めをして、使うのは俺。今日は自分の中で反省です」と言った。この敗戦を糧に、再び歯車をかみ合わせて巻き返す。5位を、このまま“定位置”にするわけにはいかない。【佐竹実】

 ▼後藤が2試合連続で代打本塁打。2試合連続の代打本塁打は10年李■浩(ソフトバンク)以来。DeNAで代打2打席連続本塁打は13年多村以来6人目。間に代打以外の打席を挟まない連続打席本塁打は、94年大塚以来チーム3人目。後藤が打ったのは、いずれも呉昇桓。同じ投手から代打2打席連続本塁打は79年佐野(広島)が水谷(中日)から打って以来36年ぶり。

※■は木ヘンに凡