29歳が波に乗る。阪神上本博紀内野手が走者一掃の二塁打で流れを引き寄せた。2-1で迎えた6回2死満塁で「いつも通り、来た球を打つことだけを考えていた」。初球、DeNA先発三浦のフォークをフルスイング。左翼筒香の頭を越える当たりで、一塁走者の藤浪も本塁にかえし、点差を広げた。

 「2死からだったし、前の打席ではチャンスで三振していたので、何とかしたいという気持ちでした。藤浪もいい投球をしていたので、援護することができて良かったです」

 29歳の誕生日を迎えた前日4日は、初回初球先頭打者アーチを放った。遠征先の横浜だったこともあり「特に何もなかったですよ」。浮かれることなく、この日の試合に備えていた。横浜スタジアムを黄色に染めた虎党の前で、連日の快音を響かせた。

 勝負強さも光っている。この日で打率は2割3分7厘だが、得点圏打率は3割1分3厘。特に三塁に走者を置くと、打率は3割6分4厘にまで跳ね上がる。「1番二塁」でスタメン復帰したこのDeNA3連戦は、14打数6安打4打点。リードオフマンでもあり、ポイントゲッターだ。

 8回1死で回ってきた第5打席は左前打で出塁。8点目のダメ押しのホームを踏んだ。前日は猛打賞で、この日もマルチ安打を記録した。「1試合1試合、1打席1打席という意識なので、1試合に複数(安打)というのは考えていないです。1打席1打席です」。29歳の2日間で計5安打4打点だが、目の前の打席に集中する姿勢に変わりはない。【宮崎えり子】