広島に惜敗で借金10となった中日に、巻き返しへの朗報が届いた。最年長勝利の世界記録を目指す中日山本昌投手(49)がウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で今季最長の5回を投げ無失点。1回に2安打されて以降は1四球だけ。5度目の2軍登板で最高の結果を示した。8月に50歳を迎える球界のレジェンドが大記録に向けて大きく前進した。

 夏の到来とともに、大ベテランが仕上がってきた。右膝の負傷から復帰した山本昌が今季最長の5回64球を投げ、2安打無失点の好投だ。8月11日に50歳となる球界最年長が、年齢を感じさせないテンポの良い投球でアウトの山を築いた。

 「随分出遅れたので頑張っているところ。足は全然問題ない。1回いい投球をしただけではなく、こういうのを続けて(1軍から)声が掛かればいいですね」

 立ち上がり、初回無死から連打を許したが、併殺打などで切り抜けた。2回以降は1四球を除きパーフェクト投球。福岡の最高気温は30・7度。雁の巣のマウンドには強い日差しが照りつけたが、昨季も9月に1軍に昇格し、先発ローテーション入りした夏好きのレジェンドには気にならなかった。

 6月18日に実戦復帰後、登板ごとにイニングを増やしてきた。「次は(球数)制限なく投げられると思う。続けていくことが大事」。試合はサヨナラ負けとなり、2軍での今季初白星は逃したが、確かな手応えをつかんだ。

 報告を聞いた友利投手コーチは「明るい情報ですね。(1軍に)いるに越したことはない。選手間でも大きな存在になる」。早ければ8月の1軍昇格もありそうで「そうすれば下からの推薦もあると思う。近々そういう風になると信じています」と声を弾ませた。

 現在の先発ローテーションは大野、山井、若松の3人だけ。バルデスが左肘を負傷し、吉見も右肘に不安を抱えている。7月に入って新外国人投手2人の獲得に動くなど、台所事情は苦しい。経験豊富な山本昌が加われば、後半戦で大きな戦力となる。

 昨年9月5日の阪神戦で49歳25日にして白星を挙げ、最年長勝利のプロ野球記録を64年ぶりに更新した。次は12年ジェイミー・モイヤー(当時ロッキーズ)が記録した49歳180日を抜く世界新記録樹立を目指し、牙を研ぎ続ける。【福岡吉央】