番長に二言はない。前回の乱調後「もう2度としない」と宣言したDeNA三浦大輔投手(41)が、6回無失点で5月27日以来の4勝目を挙げチームの連敗を2で止めた。先発での通算167勝は平松政次を抜き球団記録を更新した。13日からは首位巨人との3連戦。オールスター戦前最後のカードで再び乱セを演出する。

 同じ失敗は繰り返さない。そう肝に銘じてマウンドに上がった。三浦が、鮮やかな答えを出した。押すべきところは押し、引くところは引く。ベテランらしい駆け引きをしながら粘り強く95球を投げ抜いた。ヤクルトで抑えなければいけないターゲットは山田だ。1回2死一塁から外角のカットで空振り三振に仕留め、自分のペースに引きずり込んだ。「ポイントになるバッター。1、2戦目やられている。慎重に攻めた」と振り返った。入団した年に生まれた若者に、負けるわけにはいかなかった。

 カットボールがさえた。5回2死二、三塁で松井を三邪飛、6回2死一、三塁で武内を右飛に抑えたのもカットだった。「前回と違ってコントロールできた」と言う。5日の阪神戦(横浜)は今季ワーストの6回5失点KOだったが、内容も悪かった。1点ビハインドの6回2死一塁から8番鶴岡、9番藤浪に連続四球で満塁とし、上本に走者一掃の二塁打を浴びた。「下位に四球を出して上位に打たれて。あんなふがいないピッチングは2度としたくない。悔しくて悔しくて」と、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の1週間だった。

 アフターケアも一助となった。夏場になり、やはり暑さはこたえる。「投げ終わった後、疲れはどうしても残る。それは年々感じるよ。だからケアが大事」という。10年以上前から先発前は入念な準備を続けてきたが、夏場はマッサージ、ストレッチなど登板後の体の手入れにも時間をかけている。

 中畑監督も「大輔、サイコーッ」と手放しでたたえた。「何とか6、7回はもってもらいたい」と試合前に期待していたが、それを上回る結果だった。「いかさまをしても勝ちたい」と冗談めかして言っていたが、真っ向勝負での勝利。「苦しい試合を勝ちに結び付けたのが大きい。これで明日からの巨人戦、みんな集中力を持って戦えるんじゃないか」。首位巨人とは2・5差。オールスター前の大一番を迎える。【矢後洋一】

 ▼三浦が今季4勝目、通算170勝目を挙げた。02年から282試合連続先発中(史上2位)の三浦は、過去にリリーフ勝利が94年1勝、98年1勝、01年1勝の合計3勝しかなく、先発で167勝を記録。DeNAの通算勝利3傑は(1)平松201勝(2)秋山193勝(3)三浦170勝だが、リリーフで平松は35勝、秋山は89勝をマーク。先発で167勝は平松の166勝を抜いて球団最多となった。