やっと勝った。まだてっぺんも見える。DeNAが5回の集中打と継投策が決まり、後半戦初勝利。連敗を4で止めた中畑清監督(61)は、「久しぶりの集中力じゃない? 後半戦初体験で興奮しちゃった!」と、笑顔でまくしたてた。

 勝負手がはまった。2点を追う5回2死一、三塁で代打桑原が中前適時打。「点を取れなかったら勝ち試合はつくれない。取れるチャンスがあれば一気にいく」。岩崎に合っていなかった松本を早々に下げた決断が奏功して1点差。さらに2死満塁から梶谷が2点中前打で応え、狙い通りにひっくり返した。

 継投判断も早かった。先発砂田を4回で交代。勝ち越し直後の5回から4投手をつぎ込んだ。「迷いは全くなかった。流れがいい空気の時は(継投の)順番がバンバン出てくるんだよ。みんなしっかり仕事をしてくれて。こういう風にはまってくれた試合が一番気持ちいい」と胸を張った。

 迷いのない選手起用の兆候は試合前からあった。前日の昼食は二転三転してフライ定食。この日は「初志貫徹だな」とぶれずにカレーうどんを選んだ。そして腹を満たした後の宿舎への帰り道。見えて当然の大阪城の天守閣を見つけ、言い聞かせるようにつぶやいた。「まだてっぺんが見えてるな。写真撮っておくか」。携帯電話の操作にてこずりながら1枚パチリ。しっかりと頂を見つめた。

 球宴休み中には南場オーナーから来季の続投要請を受けた。勝てないもどかしさを押し殺し、前だけを見て得た勝利。球団歴代4位の監督通算220勝のおまけもついたが、「興味ないね。今日の1勝がよっぽど大事」。首位まで2・5ゲーム差。足元を見据え、てっぺんを目指し続ける。【佐竹実】