ウル虎悔しい! 阪神はエアポケットにはまったかのようにヤクルトに完敗、連勝が4でストップした。巨人と入れ替わって首位から転落。ヤクルトにも0・5差に迫られる正念場だ。今日2日を最後に、聖地を高校球児に明け渡し、恒例の長期ロードへ出発する。今季貯金11を稼ぐ甲子園を離れるのは寂しいが、今日はスッキリ勝って弾みをつけたい。

 黄色にふくれあがった超満員の甲子園、最後はため息で終わった。前日、5点差を大逆転した打線が沈黙して1点止まり。大黒柱メッセンジャーも立ち上がりにつかまった。巨人に首位を明け渡した。混セを抜け出すのは難しい。そう実感させられる敗戦だった。ただ、試合後の和田豊監督(52)は常に前を向いていた。

 「(石山)低めに丁寧には投げてきてはいたんだけど、甘い球も結構あった。そこを打ち損じていたというか、仕留めきれなかったな」

 指揮官の言葉通り、ヤクルト先発石山はキレのある速球を低めに集めてきた。3回にゴメスの左前タイムリーで奪った1点のみ。先発メッセンジャーが3回までに3点を奪われるなど、常に主導権を握られた。

 2回には無死一、二塁の絶好機で今成がつまっての左飛に倒れた。走者を進めることができなかった。ただ、指揮官は「内容からすれば、もう少し引っ張って欲しいところだったけど、あそこは今成がかえすところなんで。そういう勝負に出たので」と、真っ向勝負にいった結果だと、淡々と受け止めていた。

 売り出し中の江越も4打数無安打3三振と沈黙。ボール球の変化球で攻めてくる相手にバットがクルクルまわった。それでも、和田監督の表情が変わることはなかった。

 「1軍とはそういう場所。きょうは打てるボールを打てなかったんではなく、打てないボールを振っていただけ。空振りするのは構わないが、打てた時は低めに(バットが)止まって、ストライクゾーンをしとめていた。もう1回、原点に戻ってね。まあ、これで(打撃が)小さくなることはないんでね」

 「8・1」-。この日は91年前に甲子園が開場したメモリアルデーだ。試合前和田監督は「打ち上げたいな」と笑った後に「やっぱり、投手戦かな」と言い直した。和田阪神のスタイルはあくまで投手を中心にした守りの野球。これまで同様に接戦をものにするイメージを描いていただけに、ショッキングな敗戦ではなかったようだ。

 聖地の誕生日を祝うことはできなかったが、割り切れる敗戦。すでに、気持ちはきょう第3ラウンドに向けられていた。

 「(4日から)3週間ほどロードに出るんで。最後にしっかりといいゲームをやって、遠征に出られるようにやっていきます」

 長期ロード前、最後の甲子園。優勝への旅路を予感させる形で、聖地の虎党にしばしの別れを告げたい。【鈴木忠平】

 ▼阪神が今日2日ヤクルト戦に勝てば、2年連続で長期ロード直前試合勝利となる。最近10シーズンのロード前甲子園最終戦で、阪神は5勝4敗1分け。勝って長期遠征に出た5シーズンのうち、5割以上の成績で甲子園に戻った年が4度ある。今シーズン阪神は甲子園で28勝17敗の貯金11、勝率6割2分2厘と好調。一方ロードの試合では17勝27敗1分けで借金10、勝率3割8分6厘と苦戦が続いている。