節目の試合を飾れなかった。広島黒田博樹投手(40)がヤクルト戦に先発し、日米で積み重ねた登板数が500試合に達した。だがこの日は立ち上がりから本調子ではなかった。5回には山田に3ランを浴びるなど5回7安打5失点で降板。7月7日以来の5敗目で、チームの連勝も3で止まった。

 打球の行方を、すぐには見ようとはしなかった。黒田が投じた80球目は、広島の夜空に吸い込まれた。しばらく投げたコースをにらみつけていた右腕は、ゆっくり白球が消えた左中間スタンドを振り返った。

 「正直に行きすぎた。もう少し内角を攻めれば良かった。完璧に打たれた。あの打者にあのコースへ投げれば完璧に打たれる」

 0-2の5回。広島打線は山中の前にチャンスすら作れず、これ以上の失点は致命傷となる。2死からバント安打と四球で一、二塁。「3点目は相手投手の出来を考えれば厳しい。3点目を防ぎに行って、5点になった」。前の打席まで2安打の山田に警戒を高めた。追い込みながら3球ファウルで粘られフルカウント。8球目低めのボールゾーンへ落ちるスプリットをファウルにされると、9球目までマウンド上で2度間を空けた。しかし内角を狙った146キロツーシームはやや甘く入り、セ界の本塁打王の餌食となった。

 初回から球が高めに浮き、逆球もあった。走者への注意を散らされ、けん制多投でリズムを狂わされた面もあった。「いい試合でも修正はある。反省と修正を繰り返し。また次に向けて修正していきたい」。不本意な投球で今季5敗目。日米通算500試合登板を勝利で飾れなかったが、黒田は次回登板に照準を合わせ、前を向いた。

 チームの連勝は3で止まり、上位3球団との差も広がった。緒方監督は「打たれた球は甘いけど、1発でとらえた向こうの打線の好調さがある」と相手打線をたたえ、黒田と同じく次なる戦いを見据えた。【前原淳】