「ちくしょー」。DeNA中畑清監督(61)が心の底から声を絞り出した。宿敵巨人を相手に熱戦を演じるも1歩及ばず敗戦。3点を追う8回に一挙4得点で逆転に成功するも、最後は押し切られ「選手は諦めない野球を見せてくれた。よく頑張った。技術的に相手が上だった。気持ちは負けていなかった」と興奮そのままに振り返った。

 球団記録を更新する今季36度目の大入り満員の本拠地。大声援を受ける背中に闘争心だけが宿った。前夜の中日戦での敗戦で自力CSの可能性が消滅。秋のにおいが漂い始めた。この日の試合前に横浜市内で池田社長と高田GMの3人で昼食を共にした。「球団からは方針が変わってないというメッセージだったと思う」。首位で前半戦を折り返した7月18日に南場オーナーから来季の続投を要請されて以降、球団サイドの方針は一貫している。

 だが、中畑監督本人の中では来季続投が既定路線とは思っていない。順位が急激に降下し、Bクラスでの戦いを強いられている。結果を度外視して返答できるものではないからこそ、この日の試合前は「俺の中では変わってきてた」とこぼした。首位と5位では要請に対する心境は異なる。「気持ちよく引き受けるためには、グラウンドで結果を出してこそ。俺たちはここで結果を出すしかない」と自らへの“続投条件”を課す。残り18試合となり、シーズンも佳境に突入。緊迫の秋、最後の最後まで勝敗が持つ意味は大きい。【為田聡史】