負けられない最後の4連戦が始まる。広島4本柱のうち休養日の黒田博樹投手(40)を除く3投手が9月30日、マツダスタジアムで調整を行った。チームは4連勝中だが、クライマックス・シリーズ進出へ、崖っぷちに立たされているのは間違いない。今季4人で47勝29敗で18個の貯金をつくった頼れる4本柱にすべてを託す。まずは今日1日、福井優也投手(27)が先陣を切る。

 ともに14勝でタイトルを争う前田健太投手(27)とクリス・ジョンソン投手(30)は、2人で談笑してリラックスモードだった。4連戦の初陣を任せられた福井は時折笑顔を見せながらも、やや緊張した面持ちで気持ちを高めていた。「我慢することが大切。勝ちたいと思いすぎたら、先制点を取られたらダメだと思ってしまう。先制点を取られてはいけないが、1点取られても最少失点に抑えるという原点に立ち返りたい」。初の2桁勝利に王手をかけてから5試合白星から遠ざかる。ラストチャンスの今季最終登板は、チームにとっても大きな試合となる。

 福井の後には前田、ジョンソンが続く。同一チームから2人の最多勝誕生となれば5例目。3年ぶりの投球回200イニングまであと7回2/3の前田は「シンプルに勝つしかない。特別なことをして勝てるなら毎試合やる。いつも通りの投球をしたい。タイトルよりもチームのために投げたい」と意気込む。フォア・ザ・チームの精神はジョンソンも同じ。「TEAM(チーム)のスペルにI(私)が入っていないように、チームのことに個人のことは関係ない」ときっぱり。本拠地最終戦を勝利で飾り、バントを黒田につなぐことしか頭にない。

 たとえ7連勝しても、4日阪神戦で敗れれば3位を逃す可能性もある。完全アウェーの甲子園で先発を任せられるのは、百戦錬磨のベテランしかいない。2桁勝利を挙げた9月28日には「誰かがやらないといけない。チームのためになるなら喜んでやる」と話していた。

 チームは同30日に野村の出場選手登録を抹消した。代わりは捕手強化で倉の昇格が濃厚。先発の早期降板時に備え、ロングリリーフ要員で先発タイプを待機させる策は取らなかった。それだけ彼らへの信頼は厚い。畝投手コーチは「4人に託した」と言い切った。広島の命運は、4本柱が握っている。【前原淳】