東北福祉大が劇的勝利でリーグ王者に返り咲いた。仙台大に連勝。勝ち点5(10勝1敗)で2季ぶり66度目の優勝を飾った。1-2の9回表1死一、三塁で救援登板した相手エース熊原健人(4年=柴田)から、8番井沢凌一朗外野手(3年=龍谷大平安)が中越え二塁打を放ち逆転。今秋から指揮を執る大塚光二監督(48)に初優勝をプレゼントした。

 東北福祉大が土壇場の逆転で優勝を決めた。大塚監督は試合後、三塁側応援席の「大塚コール」に満面の笑み。両手を掲げて祝福に応えた。この秋、選手時代の同期でもある山路哲生総監督(48)からチームを引き継いだ。リーグ初采配での王座奪還に「ぼくは環境を整えただけ。山路前監督のチームなので、ありがとうと言いたい」と感謝した。

 3戦勝負も覚悟した9回表に、2点差をひっくり返した。就任直後から浸透させてきた「大塚色」がにじみ出た。最後まで諦めないチーム一丸の野球だ。無死満塁から中犠飛で1点差とし、ドラフト上位候補の仙台大エース熊原をベンチから引きずり出した。

 その代わりばな、決めたのは井沢だった。空振り後の2球目を中越えにはじき返し、2者をホームに迎え入れた。前日の第1戦からここまで6打数無安打だった井沢は「真っすぐしか狙っていなかった。熊原さんから打ったのは自信になる」。決勝の二塁打を笑顔で振り返った。

 第4節の東北大戦から3戦連続で4番に抜てきされたが、結果を出せなかった。だが大塚監督は守備を評価し使い続けてくれた。選手の目線に立ってチームを鼓舞する同監督に対し、井沢は「コミュニケーションが取りやすい。起用の理由も説明してもらえるので納得できる。失敗しても前向きになれる」と信頼を寄せた。

 東北地区代表決定戦の初戦(準決勝)は東日本国際大(南東北1位)と対戦する。大塚監督は「ここは通過点。一発勝負なので、チーム全員が同じ方向を向いて戦いたい」とチーム4年ぶりの神宮切符獲得を誓った。【佐々木雄高】