阪神が今オフ、藤川球児投手(35)に再オファーを出す方針であることが16日、分かった。9月に独立リーグ高知との契約が切れた藤川にはヤクルト、中日なども獲得調査に乗り出している模様。レンジャーズを自由契約となった後の5月末にオファーを出した古巣として、ここまで継続調査を行ってきた結果、トップレベルの力を確認。今後は最終的な検討を経て、不退転の決意で再アタックをかける方向となりそうだ。

 1度は切れかけた縁が戻るかもしれない。阪神がかつての守護神・藤川に再オファーを出す方針であることが分かった。今年5月、米大リーグのレンジャーズを自由契約となった。その後にオファーを出したのが古巣阪神だった。だが、藤川は故郷・高知でのプレーを選び、独立リーグ高知に入団した。代理人を介しての交渉だったこともあって球団幹部は後に「すれ違いの部分があったのでは…」と、藤川本人とのボタンの掛け違いがあったかもしれないと話していた。

 ただ、高知で約3カ月プレーした藤川は今季限りで契約が切れ、来季は再びNPB復帰を視野に入れていることを明かした。かつてのリリーフ投手としてのイメージを一新し、現在は先発投手としての調整を行っている。高知入りから、唯一、ほぼ毎試合、編成担当者が現地に赴いて継続調査してきた古巣阪神は現在もトップレベルの力を確認して球団に報告。今後は条件面などの検討へと入っていく見通しだ。

 05年にはセットアッパーとして80試合に登板して防御率1・36という驚異的な数字を残すなど、優勝の立役者となった。守護神として阪神で通算220セーブを積み上げてきた右腕の実力は、先発投手としても、いまだトップクラス。また、球団内の一部ではリリーフとして考えるべきだという意見も出ている。

 すでに先発の台所事情が苦しいヤクルト、中日など複数球団が獲得に乗り出す姿勢を示している。電鉄本社内にはタイガースのレジェンドとして貢献してきた藤川が、同一リーグ他球団のユニホームを着ることに抵抗を感じるという意見もある。何よりも10年間も優勝から遠ざかり、金本氏に新監督就任要請をしている現在、改革路線にかつての絶対的守護神が加われば、虎党の期待も高まる。

 今後は最終的な検討を経て、支障がなければ藤川へのオファーへと向かう方針。甲子園に「球児」が戻ってくるのか。今オフ、虎党の期待が集まる話題となりそうだ。

 ◆藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年(昭55)7月21日、高知県生まれ。高知商から98年ドラフト1位で阪神入団。リリーフに専念した05年に頭角を現し、救援トリオ「JFK」の中核として活躍。12年オフ、海外FA権を行使しカブス入り。今季レンジャーズに移籍したが、5月25日に解雇。帰国し四国IL・高知でプレーした。184センチ、86キロ。右投げ左打ち。

 ◆藤川帰国後の経緯 5月18日、レンジャーズの40人枠から外れ事実上の戦力外に。これを受け阪神は、獲得の条件面などを電鉄本社と話し合い、受け入れ態勢を整え始めた。同月25日、藤川が自由契約となり、日米全球団と交渉が可能に。だが5月末、断りを入れ、6月1日、生まれ故郷の四国IL・高知に移籍することを電撃発表。入団会見では将来的に「必要だと言ってもらえたら、しっかり話をして」とNPB復帰も視野に入れた意欲を見せていた。