トラの新人が「伝統の一戦前哨戦」に快勝した。阪神ドラフト6位指名の亜大・板山祐太郎外野手(21)が、巨人1位の立命大・桜井俊貴投手(22)攻略のきっかけとなる安打を放った。一塁ベースに当たるラッキー内野安打で先制点につなげ、勝利に貢献した。今後の対決に向けても「ドラフト1位には負けたくない。絶対に打ちます」と宣戦布告した。

 自分にかけた魔法の効果は、早くも2回に表れた。1死。フルカウントからの桜井のチェンジアップをとらえた打球が一塁ベースに当たる。打球方向が変わる間に、板山は一塁に到達。トラの子の幸運な安打が、虎の子の2点を生んだ。

 板山 試合前に、自分はラッキーボーイとイメージしました。チャンスで打てなくても下を向かず、切り替えていけるように。

 実は思惑違いの打球だった。

 板山 チェンジアップがストライクゾーンに来たから打っていったんですが、本当は巻き込んでファウルにしたかった。それがああいう結果になって。

 前向きに自分の幸運を信じた結果、ラッキーヒットを生んだ。ただ、中堅に入った守備では反省があった。5回1死、右中間の打球を右翼手とともに追い、失点につながる二塁打に…。

 板山 このままではぶつかると思ってスライディングで捕りに行きましたが、グラブの土手に当たって。声の連係ミスでした。

 マートン退団が決まり、阪神金本監督が外野の大争奪戦を予告。この日視察の佐野アマスカウト統括も「スローイングが正確だし、体も強い。当然、1軍キャンプを目指してほしい選手」と明言。期待度は高い。板山も情報収集に着手。亜大の後輩で、阪神藤浪の高校の同期、水本弦(3年)に藤浪の性格を聞いて「上下関係はしっかりしたヤツです」の情報を得た。トラのエースを守り、巨人の新人を打ち崩す立場になる。

 板山 桜井君はドラフト1位でぼくは下位なんで、1位の選手には負けたくない。絶対に打ちます。

 TG戦ではラッキーボーイではなく、ヒーローになる。【堀まどか】

 ◆板山祐太郎(いたやま・ゆうたろう)1994年(平6)3月27日、神奈川県生まれ。小学2年から緑中央リトルで野球を始め、ポジションは三塁手。山岡フェニックスに移り、中学は中本牧シニア、成立学園では二塁手。亜大2年時に外野手に転向。遠投110メートル。50メートル6秒0。家族は父、母と姉。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。