とにかく明るい梅野に注目!! 阪神OBの江夏豊氏(67)が22日、金本新体制に「明るさ」を求めた。なかでも、正捕手候補の梅野隆太郎捕手(24)のキャラクターを高評価。投手力強化が課題になっているなかで、捕手が投手をもり立てる大切さを説いた。金本知憲監督(47)も「厳しく明るく」をテーマに掲げ、来季スローガンは「超変革 Fighting Spirit」。阪神で一時代を築いた左腕の声に後押しされながら明るく元気な集団に生まれ変われ-。

 江夏氏はこの日、兵庫・姫路市内で行われた野球教室に参加、中学生球児を前に、江夏氏は諭すように指摘した。静かなブルペンでの指導。気づいた点があった。「残念に思ったのは、投手は元気よく投げたけど、投手を生かすも殺すも捕手。捕手が元気なかったな。いい球が来たら『ナイスボール!!』。暴投が来たら『バカ野郎!!』と言えばいい。無口で受けるのが捕手の仕事じゃない」。プロも中学生もない、共通点だろう。

 18・44メートルを隔てた捕手とともに、通算206勝193セーブを積み上げた。レジェンド左腕は「バッテリーは夫婦と一緒」と強調する。今春の宜野座キャンプで臨時コーチを務め、来年2月には安芸2軍キャンプで指導することも決まっている。投手強化を託されるが、見失ってはならないのは捕手強化も一対だという点。自ら名指しして言う。

 「梅野君みたいに技術的にはまだまだ勉強の余地はあるけど、一生懸命に受けていると伝わる。あの子のキャラクターは明るくするし、素晴らしいものを持っている。ましてあの顔。憎めん顔だもん(笑い)」

 沖縄で指導した2月、江夏氏は食堂で梅野と会うこともあった。「メシを食うのも明るい。先天的な明るさだよな。意識してやってない。あれは神様が与えた長所。大いに利用して活用してもらいたい」とエールを送った。プロ2年目の今季は正捕手筆頭候補に挙げられながら、56試合出場にとどまった。伸び悩んでも小さくなるな! 江夏氏一流の教えだろう。

 「いろんな捕手と組ませてもらった」と大物OBは続ける。現役時には田淵幸一氏と名コンビを組んだ。「ボーッとしておおらかな性格に助けられた。打たれてストライクが入らないときに難しい顔をされると余計にイライラさせられる。おうようさに救われた」と懐かしむ。梅野も、かつての大砲になぞらえられたキャラクターを生かしたい。

 今秋から始動した金本新体制にも「明るさ」を求める。「今までのタイガースにないものは何かというと明るさ。金本が、持って生まれたアイツの明るさをチームに注入すれば、プラス材料になる」。「超変革 Fighting Spirit」を来季スローガンに掲げる虎は、近年おとなしいチームカラーだったが、ヤンチャにイメチェンされるに違いない。梅野にはその象徴になり得る明るさがある。安芸キャンプではリレーを行い、金本監督が自ら運動会用CDをBGMで流すなど「厳しく明るい」雰囲気づくりを率先している。大御所が望む快活さで、覇気を押し出していけ。【酒井俊作】