二刀流の準備OK! 阪神鳥谷敬内野手(34)が25日、都内で「NPB AWARDS 2015 supported by リポビタンD」に出席し、走力&パワーの来季両立を誓った。この日テレビ出演した金本監督から1番と3番の2パターンのノルマを課され「監督が言われたようにプレーするのが選手」ときっぱり。変幻自在にスタイルを切り替え、新生タイガースを11年ぶりのV奪回に導く。

 丸メガネの奥から、両目を鋭く光らせた。大阪から東京へ。指揮官から2種類のノルマを課せられたことを伝え聞き、鳥谷は二刀流の準備を即決した。

 鳥谷 監督が言われたようにプレーするのが選手だから。(監督と)いろいろ話をしながら方向性を見つけていきたいと思います。

 夕刻、都内でベストナインの授賞式に出席。その10時間前、大阪でテレビに生出演した金本監督から、高難度の要望を受け取っていた。

 金本監督 トリの能力とか実績、身体能力を見た時に、すべて(の数字)が物足りない。3番と見た時に本塁打6本というのはね。1番と考えた時に、盗塁も倍はしてほしい。

 1番、3番を主戦場とした今季は打率2割8分1厘、6本塁打、9盗塁。期待値が高いから、ハードルも高くなる。来季の打順は未定。指揮官はすでに「20本は打ってほしい」と期待をかけており、仮に3番を任されればパワーの向上を義務づけられる。一方、1番に指名された場合は足でかき回す役割も担う。どちらの役割も可能にするため、妥協なき準備を進める。

 鳥谷 今から(走力が)上がっていくことはないし、今まで以上に準備を大切にしないといけない。速くなくてもスタートが良ければカバーできる。チャレンジしていきたいですね。

 本塁打数は09年の20本が自己最多。ここ5年で2桁到達は13年の10本のみだ。盗塁数は11年の16盗塁がマックスの数字で、今季は6年ぶりに1桁台まで落ちた。とはいえ、今季は右脇腹負傷、死球による背中の激痛を抱えながらの数字。来季、成績がV字回復する可能性は十分ある。

 金本監督は前日24日、球団納会の壇上でレギュラーを懸けた競争激化をあおりながら、鳥谷、福留、ゴメスのレギュラーをあらためて明言した。この日も「彼が変わらないとチームは変わらない」ときっぱり。熱い言葉の数々はもちろん、主将の胸に響いている。

 鳥谷 チームとしては優勝。個人としては今まで以上の成績を残せるように。

 授賞式の壇上では来季のキャリアハイ(自己最高成績)を誓った。美酒を浴びられるのならスタイルは問わない。変幻自在に身を粉にし、新生阪神の土台になる。【佐井陽介】