来年2月の阪神安芸2軍キャンプで指導するOBの江夏豊氏(67)が来シーズン中も鳴尾浜で教えるプランを温めていることが29日、分かった。前日28日のOB会総会で金本知憲監督(47)から直々に若手への技術指導を請われ、快諾。キャンプの臨時コーチにとどまらず、シーズン中に2軍本拠地を訪れる情熱を示した。

 レジェンド左腕は来年2月の安芸キャンプで指導することがすでに決定。5日間ほどの短期で、江夏氏は腹案を温めていた。

 「大阪遠征のときに鳴尾浜に顔を出してね。ちょっとでも顔を見せれば冗談のひとつも言える。一緒に野球談議をするだけでもいい」

 金本監督から、OB会で直接「技術指導をお願いします」と頼まれた。言葉1つでも、志が伝わってきた。江夏氏は「OBに頭を下げて『よろしく』と。その姿勢が過去にないタイガースと思うね」と言う。今年も2月に1軍宜野座キャンプで臨時コーチを務め、5月には掛布DC(当時)らに請われる形で鳴尾浜を訪問。若手投手に助言していた。来年もシーズン中に多忙の合間を縫い、関西を訪れた際は「非常勤コーチ」として鳴尾浜に足を運ぶ考えだ。

 「自分の現役時代は、そういう先輩がいなかった。野球の話をしたから身になるという甘いものじゃないけど、何かのキッカケになればいいんじゃないかな」

 2月の安芸に向け、いまは多くの言葉を並べない。「遠くからは見させてもらったけど、大事なのは近くで。自分の指先から球が離れる、ピシュッという音を聞きながら、フォームっちゅうのは考えていくんだから」。左腕はじっくりと時間をかけ、金本体制を側面から支える。【酒井俊作】