【ホノルル(米ハワイ州)12日(日本時間13日)=田口真一郎】ソフトバンク内川聖一外野手(33)がハワイの空に4番死守を誓った。ハワイ滞在中は家族サービスや選手会ゴルフなどで1年間のサポートへの感謝の気持ちを表した。その裏で、体を動かすことも忘れなかった。夕方にワイキキビーチに向かい、専属トレーナーとキャッチボール。そして砂浜を走って、汗を流した。心はすでに来季に向かっている。

 「この優勝旅行でオフは終わりと思っている。日本シリーズの前にオフになってしまったから。その分、早く動きたい」

 肋骨(ろっこつ)を骨折し、日本一の瞬間をグラウンドで迎えられなかった。4番の重圧とも闘い、打率3割は7年連続で途切れた。苦しんだシーズンが逆に内川を奮い立たせている。

 「今まで気にせずに3割を超していたものが、意識して超えなかった。来年見てろよ、という思いは正直ある」

 来季も引き続き4番を打つ可能性は十分にある。苦悩から逃げる気は全くなかった。

 「4番でダメになったと言われて、終わりたくない。可能なら、4番を打ちたい。自分の中では長く打ちたい。悪かったことは自分の記憶にとどめておく」

 シーズン終了後には工藤監督から課題が書かれたファイルをもらった。今季はファウルが多く、打ち損じが見られたことなど、技術的な分析が指摘されていた。「ここまでやってくれることは、そうない。選手にとって、すごくいいことだと思う。そういう風に見えていたのか、と。改善の余地がある」。春季キャンプからは本格的に一塁の守備に取り組む。「この年になって、新しいことをやらせてもらうのは限られた人しかいない。幅を広げようとしてくれているし、やらないともったいない」。

 3連覇を目指すチームに、主将で4番の内川は必要不可欠だ。今季の経験は来年に必ずつながる。すでに戦いは始まっていた。