3冠王の奥義を生かして4番取りだ。ソフトバンク柳田悠岐外野手(27)が18日、自主トレ先のグアムから帰国した。オリックス糸井、阪神今成と3人でのトレーニングだったが、現役続行を目指し現地で練習をしていた松中と合流。松中が得意とする内角打ちを伝授された。4番として40本塁打-40盗塁を目指すギータにとって、大きなプラスとなる。

 寒空の福岡空港に真っ黒に日焼けした柳田が姿を現した。「寒い、寒い。バリ頑張りましたよ。向こうは暑かった。いい練習ができましたよ」。プロ6年目で初の海外自主トレの成果に充実感いっぱいの笑顔だった。

 現地では松田、松中らと合同で練習することもあった。最後の3日間は糸井、今成と一緒に松中塾に入った。「松中さんからインコースのさばき方を教えてもらいました。3日間はそればかりやっていましたよ。言葉で言うのは難しいんですけどね」。内角にトスを上げてもらい、松中の代名詞ともいえる右手をうまくたたんだ内角打ちを体に覚え込ませた。

 トリプルスリーを達成した昨季は中盤から厳しい内角攻めを受けた。スコアラー陣が把握しているデータでも、内角が苦手という傾向は出ている。柳田は「そこ(内角)を打てれば、投手も投げにくくなる」と話す。

 松中は01年に松坂の内角直球をバットを折りながら福岡ドーム(現ヤフオクドーム)のスタンドへ本塁打をたたき込んだ。すぐにその領域へいくことは難しいかもしれない。だが、技術の引き出しを増やすことで、今季も続く内角攻めに対して気持ちにも余裕が生まれてくる。

 昨年11月の右肘手術の影響で、グアムでは素振りとティー打撃のみだった。早ければ今日19日から西戸崎合宿所で、マシン打撃を行い調整ペースを上げる。4番へ挑戦する大事なキャンプを前に、元4番から貴重な技を授かった。【石橋隆雄】