打力を備えた捕手は伝統の系譜だ。楽天新人合同自主トレ第2クール3日目の19日、ドラフト4位の堀内謙伍捕手(18=静岡)が、走攻守でアピールした。同期のオコエらと出場した昨年のU-18W杯では打率4割3分8厘、5打点と暴れ、捕手ベストナインに選ばれた素材。マシン打撃では直球、カーブを的確にミートし、二塁へのスローイングは迅速、かつ正確。ダッシュでもオコエと張るスピードを披露した。

 原石を磨く。堀内は芯を食ったメープル素材特有の高い反発音を、コボスタ宮城の室内に響かせた。900グラム、85センチのバットを巧みに操った。ミート率と打球の強さは、ルーキーの中でも際立った。「体の内側からバットを出すことを、一番大切にしています。極端に言えば、どんなに窮屈な内角も反対方向に打ち返すイメージで振っています」と言った。理想は西武のヒットマン秋山。「高校時代から振っていた」茶色の相棒は、芯の付近が白く変色していた。

 1球を大切にするキャッチボールにも好感が持てた。「いつも捕りやすいボールを投げる。スローイングは、右足に体重をしっかり乗せることを意識しています」。走者の足が入る場所へ、ピンポイントで放る制球力は「自信のある部分」。1日を通してセンスがあふれ出た。05年の銀次、06年の嶋、11年の岡島。シュアな打撃が武器の捕手で入団し、ドラフトの目玉でなくともチームの軸まで成長した。練習を見た平石2軍監督は「資質がある。1年戦える体力を」と求めた。楽天の若駒はオコエだけじゃない。【宮下敬至】

 ◆楽天の左打ち元捕手 銀次は05年高校生ドラフト3巡目で入団。打力を生かすため09年秋に内野に転向すると、13年には打率リーグ4位、14年は同2位に入った。岡島は11年ドラフト4位で入団。13年のシーズン途中に星野監督に直訴して外野に挑戦した。1番に定着すると、翌年から外野手登録に変更。楽天では外野手だった礒部は、近鉄入団時から01年まで捕手登録だった。