球界初の偉業も越えられない壁ではない。ソフトバンク柳田が今季の目標に掲げる「40本塁打&40盗塁」の実現に向け、攻略ノルマを設定した。それは1カードにつき1本塁打1盗塁を記録するというもの。143試合を3連戦で単純計算すれば「47」の数字がはじき出される。「40-40」は射程圏内だ。

 柳田 (設定は)本塁打も盗塁も一緒です。調子がいい時にどれだけ増やせるか。調子が悪い時も必ず来る。

 秋山前監督の言葉がきっかけだった。昨年6月ごろに、こう激励された。「1カードで本塁打1本を目標にやれ!」。この考え方が柳田に合った。本塁打を意識することで強いスイングを常に心がけることができた。「それを目標にすれば、ホームランを打てるスイングが打席の中でできた」。継続的にオーバーフェンスが見られ、最終的に34本塁打。ノルマを重圧と感じることなく、トリプルスリーにつながる結果を残せた。

 もともと長谷川の助言で、安打に関してはこの「カードノルマ理論」を取り入れていた。打率も振り回されず、積み重ねの気持ちで打席に立てる。メンタル面で落ち込みがなくなった。今年は開幕から、本塁打と盗塁にも適用し、高いハードルに挑戦する決意だ。

 右肘の手術後は、肩回りの筋力強化やランニングに時間を割いた。「今までやってこれなかったことを、たくさんできたのは良かった。年々、強い体になっている」。キャンプイン直前に、「40-40」への期待が膨らんだ。【田口真一郎】