連覇の鍵は、この男が握る。ヤクルトは2月1日から始まる沖縄・浦添キャンプに向けて30日、羽田空港発の航空機で沖縄入りした。昨春キャンプは、けがのために不参加だったウラディミール・バレンティン外野手(31)は、打撃練習などで順調な仕上がりをアピールした。昨季まで日本での通算本塁打は154本。節目の200に向けて46本以上をマークし、13年以来の本塁打王に返り咲くと意気込んだ。

 那覇空港に到着してから約2時間後。浦添市民球場の室内練習場に、バレンティンが姿を現した。練習を行っていた畠山、川端、中村らから「今年は大丈夫なの?」と声を掛けられ、「ダイジョウブデス」と得意げに笑ってみせた。キャンプスタートは2日後の2月1日。全体での始動を前に、真面目に自主トレを始めた。

 日本語を流ちょうに操る、陽気な姿はそこにはない。左右のバランスを把握するために、利き手と反対の左打ちで試し打ち。普段は足を上げてタイミングを計るが、ノーステップ打法を取り入れるなど工夫をこらした。納得のいかない打球には「あー」と声をもらし、バットの軌道を何度も確認した。

 ふがいなかった昨年が、原動力となっている。14年秋に受けた左アキレス腱(けん)の手術の影響で昨春キャンプは不参加。シーズン中に痛めた左太もも肉離れの手術と、出場15試合で1発に終わった。「第一にけがをしないことが目標」と、14年ぶりの優勝を果たしたチームに迷惑をかけた気持ちを強く持つ。

 チームへの恩返しは、個の活躍が必須だ。昨季までの5年間で、日本球界での通算本塁打数は154。今季の目標を問われ「46本打ちたいね」と節目の200本だけでなく、13年以来、4度目の本塁打王も視野に入れる。同年はシーズン60発のプロ野球記録を達成。絶好調だった当時の“ゾーン”を取り戻すためにも、念入りな打撃の確認だった。

 約2時間の練習を終え、「ロクジュー、ウテマス」といつもの陽気さを取り戻したバレンティン。キングの復活が、連覇の鍵を握る。真面目に練習に取り組む姿が、チームにとっては何よりの朗報だ。【栗田尚樹】