パワフルヤマトに超変革や!! 阪神の宜野座キャンプで6日、実戦を想定したシート打撃が行われ、大和外野手(28)が快打を披露した。好調の岩貞から強振して左前へ。昨秋キャンプから金本監督に指示された強振を鮮やかに実践。昨季までの当てるだけのひ弱な打撃は消え、上本、西岡との二塁の定位置争いがヒートアップする予感だ。

 レッテルをはがす痛烈な弾道だった。背番号0が本来の打撃を取り戻しつつある。午後のシート打撃。1死一、三塁の状況で好調の左腕岩貞と向き合う。初球だった。内寄り高めの直球を思い切り引っ張り、ライナーで左前に運ぶ。この打撃こそ、理想の形なのだ。

 ネット越しにチェックしていた金本監督も「あれが大和の良さ。どんどん引っ張っていけばいい。持ち味だから。ヒットも出るし、ホームランも出るよ。狙えと言わなくても、自然と出るよ」と深くうなずいた。バットよりもグラブが似合った昨季までとは別人のようだ。いまや「守備の人」ではない。それほど力強い打撃をしている。

 今春、第1クールのフリー打撃でも柵越えを連発。左翼への連発、バックスクリーンにも放った。この日、実戦に即した打席でも快音を発し、大和も手応えをつかんだ。

 「多少、詰まってましたけど、しっかり振り切れて良かった。右方向を狙っているときはあれ以上、振り切ることができなかった。詰まっても外野に持っていける。打撃練習でも強い打球を打てていますからね」

 数年前までは内角球を痛烈に引っ張る姿を見せていたが、進塁打など小技を意識しすぎて、近年は打撃が小さくなっていた。昨秋、金本監督に「内角を引っ張れるのが長所。強く振れ」と助言され、パワー重視へ。11月の安芸で5連発など飛距離が出るようになった。片岡打撃コーチも「秋から状態がいいヤツが結果が出た。大和も今日は手応えがあったんじゃない?」。持ち味を取り戻し、上本や西岡と競う二塁争いも横一線の勝負になる。

 小雨が降りしきる宜野座から引き揚げる際には「間違ってなかった」と語気を強めた。進むべき道に迷いはない。昨秋「来年は5本打ちます」と誓った。守備固め要員で埋もれるつもりはさらさらない。【酒井俊作】