驚きの150メートル弾だ! 楽天の沖縄・久米島キャンプで初の紅白戦が行われた7日、1軍の実戦に参加した育成枠の片山博視内野手(28)が特大アーチを放ち、1軍首脳陣にアピールした。途中出場ながら3打数2安打3打点の大当たり。プロ11年目、野手転向2年目の苦労人が、豪打で1軍入りへ名乗りを上げる。

 強烈な打球が久米島球場の上空に舞い上がった。122メートルあるフェンスどころか、バックスクリーンのスコアボードも越える、推定飛距離150メートルの特大アーチ。片山自身、「手応えは良かった。あれだけ飛ばせたのは、もちろん初めて」と自画自賛するほど完璧な1発だった。梨田昌孝監督は「いやもう、びっくり」と脱帽。これ以上ないアピールの場となった。

 打席ではしっかりとバットを振ることに集中し、最高の結果を得た。6回1死一、二塁、紅組の3番手で登板した小野の1ボール、1ストライクからの外寄りの甘い速球を見逃さなかった。紅白戦は選手の仕上がりを確認することが目的とはいえ、勝利をもたらす逆転3ランは、片山の勝負強さを物語っていた。「1打席目はとにかく緊張したが、1本(安打が)出たのがよかった」。4回の第1打席で左翼越えの二塁打を放ったことが、片山の気持ちを落ち着かせた。

 紅白戦前から猛打の予感はあった。梨田監督が2軍のキャンプを視察した際、目に飛び込んできたのは片山の打撃だった。「ピンポン球のような打球を飛ばしていた」。草野大輔2軍打撃コーチから「ゴロじゃなく、フライアウトでもいいから思い切り打て」と伸び伸び育てられたことが、片山の素質を開花させた。

 今年から育成選手として再出発。「1軍でいきなりの試合でアピールできて良かった」と幸先の良いスタートを切った片山に指揮官は「状態が良ければオープン戦も出られるかもしれない」と期待を寄せる。1試合だけでは終わらない。豪打を連発し、再び支配下選手に返り咲く。【田口元義】

<片山のこれまで>

 05年 高校生ドラフト1巡目で報徳学園から楽天に入団。

 08年6月3日 阪神戦でプロデビュー。

 10年~ 3年連続40試合以上に登板。

 13年 日本一になった年も31試合に登板。

 14年 肘の故障により4試合の出場に終わった。

 15年 投手から内野手に転向し、背番号が「28」から「91」に変更。

 同11月 育成契約を結んだ。背番号は「001」。