芸人の公演から、復活への道筋が見えた。巨人内海哲也投手(33)が26日、開幕ローテーション奪取に向け、自らの引き出しをフル活用すると誓った。試合では状態や相手によって、臨機応変さが求められるが、沖縄キャンプ中に訪れた「よしもと沖縄花月」での公演でも実感。舞台上で繰り広げられた芸人のアドリブのように、内海もマウンドで順応する。

 登板予定の今日27日ヤクルト戦に向け、ジャイアンツ球場で調整を終えた内海は、駆け上がった階段から生える花に目を留めた。「春が来たなぁ~。テンション上がる」と笑顔で見つめたのは、オオイヌノフグリだった。花言葉は「信頼」や「忠実」。「花言葉通りのピッチングをする」と高橋監督の信頼に、忠実に応える意気込みを示した。

 登板を前に、思い返したのは、沖縄キャンプ休日の19日に後輩の今村と訪れた「よしもと沖縄花月」の公演だった。前方3列目から、トータルテンボスやクロスバー直撃などの舞台を楽しんだが、息づかいも聞こえる距離で得たのは、心のリフレッシュと勝負を制するすべだった。

 舞台も、マウンドも、同じ勝負の場だった。トータルテンボスの舞台中、客から予期せぬツッコミが飛ぶ度に、コンビ2人が「今日は参加型だな」と絶妙な切り返し。展開によって、微妙な雰囲気になりそうな場面を爆笑に包んだ。別の芸人の公演では「歌を歌って」と言う場面で、「歌を弾いて」とかんだが、それをも爆笑に変換。最後のオチでも、かんだネタで笑いを取った。

 内海 めっちゃ、笑ったし、面白かった。お客さんをいじったり、逆に問い掛けにうまく対応したり。その全てを笑いという最高の結果につなげるんだから、すごいなと思った。

 笑いのプロから、投球にも通じる極意を吸収した。マウンドでも、順応力が勝敗を分ける。「調子がいい時もあれば、悪い時もある。その時に、どう対応していくか」と話すように、投球でも“アドリブ”は重要。その日の状態を見極めた上で、使える球種を取捨選択するすべは、目の前で繰り広げられた舞台と相通じた。【久保賢吾】

 ◆トータルテンボス 98年結成。ツッコミの藤田憲右、ボケの大村朋宏(ともに40)は静岡県御殿場市生まれ。コンビ名は、藤田が好きな映画「トータル・リコール」と、大村が好きなテーマパークで候補にしていた「ハウステンボス」を合わせた。07年のM-1グランプリでは2位に輝く。元高校球児の藤田が「ハンパねぇ」と言い、大村の「おやおや、穏やかじゃないね~」と返すのが定番ギャグ。

<巨人内海のコラボアイデア>

 ◆トランポリン 11年オフに下半身強化で取り組んだ。「トランポリンの上をバランス良く跳んだり、走ったりすることで、下半身を強化していこうと」を狙いとした。

 ◆ヨガ 14年オフにヨガスタジオに通った。自身の眠った能力を呼び起こすことが目的で、近年は背中と太ももが硬くなっていたが、数回のレッスンで背中の後ろで右手と左手がつなげるまでに柔軟性がよみがえった。

 ◆大工 14年オフに上半身と下半身の連動性を求めるために導入。自宅近くのホームセンターでハンマー(約2000円)と、くい(約300円)を購入し、大工のようにハンマーを振り下ろした。「くいをきれいに打ち込むには力の出し入れが重要。投球動作にもつながる動き」と活用した。