野球賭博問題を調査している日本野球機構(NPB)調査委員会の大鶴基成委員長(61=弁護士)が16日、都内で取材に応じ、全容解明に向け状況が進展したことを明らかにした。熊崎勝彦コミッショナー(74)がキーマンに挙げた野球賭博常習者と認定した飲食店経営者(B氏)と笠原将生元巨人投手(25)と連絡を取り、B氏には弁護士を通じて協力を拒否されたが、これまで連絡が取れなかった笠原元投手とは交渉の道が開いた。

 全容解明を目指す調査委員会にとっては、ひとつの道が閉ざされ、もうひとつの道が開く状況となった。記者団に囲まれた大鶴委員長は「Bさんは弁護士を通じて明確に断られました。協力したくないという趣旨でした。弁護士が中に入った場合、直接コンタクトしないのが弁護士同士のルール。どうしようもない」と、ルートが閉じたことを認めた。15日にB氏の弁護士から連絡が入った。

 一方で進展があった。これまで連絡も取れなかった笠原元投手とは、直接折衝することができた。「どういう風に協力してもらうか、やりとりをしている。応じましょうとは言ってくれています。連絡がつかなかった段階より進んだと思います」と、こちらは1歩前進した。

 無期失格処分となった福田、笠原、松本竜の元3投手に続き高木京投手も加わっていたことが新たに発覚したことを受け、熊崎コミッショナーが決意を表明していた。「調査にはキーマン、あるいはカギを握る人物がいる。野球賭博常習者と認定されたB氏および、今回の高木選手の案件に関わったとされる笠原(元)選手を、本件の調査にしっかりと協力していただけるように、あらゆる誠意を持った働き掛けをしていく」と、覚悟を示していた。

 昨年から悩まされた「調査」と「捜査」の違いを打開するためにも2人の協力は必要だった。大鶴委員長はB氏サイドに対し「プロ野球界から賭博を根絶するためにも必要なので、知っていることがあったら教えて下さい」と申し入れたと言うが、答えは拒否だったと明かした。

 今後は笠原元投手と会う日程を調整していく。高木京投手の処分案を作成する前にも実現したい意向だが、未定だ。「もちろんそうです。聞ける範囲で」と話した。調査委員会独自の情報を得られるのか注目される。