野球のBCリーグがきょう9日に開幕する。新潟アルビレックスBCは群馬との開幕戦(ハードオフエコスタジアム)でリーグ創設10年目のスタートを切る。チームの歴史とともに歩んできたのが稲葉大樹内野手(31)だ。昨季から兼任コーチを務め、今季が在籍10年目。BC、四国ILを合わせて、独立リーグの現役選手で最長在籍年数になった。通算安打数713は両リーグ合わせて歴代最多。「ミスター独立リーグ」は自身のレベルアップとチームの優勝を目指して10年目のシーズンに臨む。

 開幕を控えた稲葉は、打撃練習を終えた選手と1対1で話し合い、アドバイスを送る。その前には野手陣へのノックを行い、一段落したところでやっと自分の打撃練習を始める。

 昨年からコーチ兼任。選手の練習に目を向ける時間がほとんどになった。「軽はずみなことは言えない。コミュニケーションを密にするようになりました。選手の考えを聞いて勉強になることも多いです」と言う。

 新潟入りして10年目。稲葉は「1打席、1球ごとに真剣勝負をする」と自らに言い聞かせる。独立リーグ在籍10年目はBC、四国ILを合わせて現役最長になる。今季を終えれば、歴代でも梶田宙(高知)の10年に並ぶ。飛び抜けているのは通算安打数だ。713は両リーグ歴代最多。歴代2位の国本和俊(香川)の581本を大きく引き離す。

 「安打数を伸ばすことは技術の向上を表すと思う」との信念がある。巧みなバットコントロールは、当然プロからも注目された。「今は1球で仕留める、失投を逃さない打撃を身に付けたい」と、むしろ求める質は高くなった。

 青木宣親(マリナーズ)とは3年前から合同自主トレを行っている。今年1月には「先を見ずに1つ1つ頑張れ」とアドバイスされた。「引退するのはうまくなりたい、勝ちたいと思わなくなったとき」。妥協を許さない姿勢で、今季も戦い抜く。【斎藤慎一郎】

 ◆稲葉大樹(いなば・ひろき)1984年(昭59)8月22日生まれ、東京都出身。安田学園(東京)から城西大へ。4年の秋に、遊撃手で首都大学リーグベストナインに選出される。卒業後、クラブチームを経て07年5月に新潟に入団。11年に首位打者を獲得。昨年からコーチ兼任。171センチ、80キロ。右投げ左打ち。