東大・宮台康平投手(3年=湘南)が1失点完投で法大を下し、チームに04年春以来のシーズン3勝をもたらした。来秋のドラフト候補にも浮上するエース左腕は、最速を1キロ更新する146キロを出し08年秋の鈴木優一以来のシーズン2勝を挙げた。

 また、宮台が勝った。9回2死。3番向山を追い込むと、思い切り左腕を振った。144キロの直球で空振り三振。昨秋に続き、法大から白星を挙げた。チームにも12年ぶりのシーズン3勝をもたらした。だが、エースは大きく表情を変えることはなかった。「勝てて良かったですが、チームは気持ちだけでなく、実力としても勝っておかしくないところまできていると思います」と胸を張った。

 初回、先頭の大西千に最速を1キロ更新する146キロを出した。「いい打者なので思い切り腕を振った」と臆することはなかった。それでも、今季最終カードで6試合目の登板。8奪三振も、指の掛かりが悪く8安打7四死球。スライダー、カーブで緩急をつけ3併殺を奪った。ベンチに戻る際には、スコアボードのラインアップを確認。次の回の“予習”を欠かさない秀才左腕は「勝負どころを抑えられたことが大きかった」と振り返った。東大の投手としては15季ぶりにシーズン2勝を挙げた。

 昨年は100球以上投げることに苦労していたが、今春は44イニングを投げ1完封を含む4完投。7月の日米大学野球選手権(新潟ほか)に出場する大学日本代表候補選手にも推薦された。「シーズン前に(代表入りを)目標にしていたのでうれしいです。まだ正式決定ではありませんが、トップレベルの人たちにいろいろ聞いてみたい」と期待を膨らませて待つ。

 宮台に引っ張られ、チームは14年ぶりの勝ち点へ今季最後のチャンスが来た。勝ち点を挙げ、現在5位の早大が28日からの早慶戦で連敗すれば最下位脱出の可能性もある。浜田一志監督(51)は「悪いなりに抑えるのがエース。宮台には、あと9イニング投げるつもりで調整しろと言います。三度目の正直、頑張ります」と高い壁を打ち破る。【和田美保】

 ▼東大が明大2回戦、立大1回戦に次いで今季3勝目。東大のシーズン3勝は04年春(3勝10敗)以来。宮台は昨秋に続いて法大から勝利。東大の投手が法大から2勝をマークしたのは、74年春、秋に1勝ずつ挙げ秋は法大・江川にリーグ戦初黒星を付けた山本隆樹(木更津高出)以来42年ぶり。東大が勝ち点を挙げれば02年秋(対立大)以来、法大からでは93年秋以来となるがどうか。