キングがセ・パを制覇した。ヤクルト山田哲人内野手(23)が、1シーズンで両リーグ全11球団から本塁打を放った。2点リードの7回に勝利を決定付ける22号2ランを左翼スタンドに運んだ。13年にバレンティンが記録しているが、15年に交流戦が各カード3連戦18試合制となってからは初の快挙。本塁打数でも西武メヒアに並び、両リーグトップに躍り出た。

 山田は半信半疑で、白球の行方を見つめた。「フェンス直撃かなと思ったけど、本当に神宮球場のおかげです」。3-1と2点リードの7回1死一塁。西武2番手・佐野のボールは2球続けて外角低めに外れた。山田は「直球一本に絞って。空振りしてもいい」。3球目、真ん中高め142キロ直球を振り切った。圧倒的なスイングスピードで、左翼席の最前列に着弾させた。

 セ・パ全11球団からのアーチを1シーズンで達成した。「意識はしていなかったけど、なかなかないこと。素直にうれしい」。本塁打数でも、パでトップの西武メヒアに並ぶ22本目。好調のこつを聞かれ「長打を狙ってはない。結果的に長打は出ていますけど、しっかりとコンパクトにスイングしているだけ。思い切って自分のスイングをしていれば、相手、配球どうこうは関係ない」。昨季のセ本塁打王は胸を張った。

 キングとしての自信がある。相棒にも王者としての風格を漂わせた。今季から練習用のバットの色を少し変更した。これまでは黒ベースに文字は銀色だった。今年から銀の部分を金色に変えた。契約するアディダス社からの提案によるもの。山田は「キングっぽい。何かいい感じ。テンション上がる」と早出のティー打撃や試合前のフリー打撃で振り込む。

 主軸の放った勝利を決定付けるメモリアルアーチ。交流戦最後のカード頭を奪取した。チームはセでも、交流戦でも最下位に低迷し、いまだ波に乗り切れていない。山田は「チームは苦しい状態ですけど、全力で最後まで戦います」と神宮のファンに約束した。自慢のバットで、白星を呼び込む。【栗田尚樹】

 ▼山田が西武1回戦で本塁打。交流戦は全カードで1発を放ち、1シーズンで対戦する11球団すべてから本塁打を打った。交流戦開始後、同一シーズンで11球団からアーチは、13年バレンティン(ヤクルト)以来17人目。交流戦が36試合制だった05、06年に9人、24試合制の07~14年7人で、15年に18試合制となってからは初めて。また、交流戦で達成は08年ウッズ(中日)前記バレンティンに次いで3人目。