史上初の2年連続トリプルスリー達成へ、まず「本塁打」部門をクリアした。ヤクルト山田哲人内野手(24)が、両リーグ最速の30号を達成した。阪神14回戦(甲子園)の1回1死一、二塁。岩貞から右翼ポール直撃の先制3ランを放った。ヤクルトの日本人選手が30号に両リーグで最速到達するのは初の快挙。二塁手では65年スペンサー(阪急)以来51年ぶり2人目だ。試合は山田の先制3ランも実らず、3-5で逆転負け。4連勝とはならなかった。

 右翼ポールへ、一直線に飛んだ。山田は確信を持って一塁へ歩き出した。不安交じりの阪神ファンの声援。すぐさま、沈黙に変わった。「チャンスだったので空振りしてもいいと思って。浜風にも助けられましたね」。初球、真ん中高め142キロを狙い打った。10日中日戦(神宮)以来となる1発は両リーグ最速の30号。前人未到の2年連続トリプルスリー達成を目標に掲げる山田が、まずは本塁打部門をクリアした。

 「2年連続のトリプルスリーは、誰も達成したことがない。自分がそれをやりたい」。シーズンが始まる直前、杉村チーフ打撃コーチと約束を交わした。昨季もトリプルスリーを達成すると目標を掲げ、見事に有言実行した。打率3割4分7厘、77打点、120安打、23盗塁、4割6分の出塁率とリーグ1位の数字を誇るが、「打率3割、30本、30盗塁」の項目しか興味がない。春季キャンプ中に痛めた腰は万全ではない。右太もも裏にも、強い張りを感じている。コンディションは万全ではないが、明確な目標へ一直線だ。

 リアルな世界だけではない。ゲームの世界でもキングぶりを発揮している。先日、国内でも配信開始された世界中で話題の「ポケモンGO」に興味を持つ。前日25日に大阪入りした山田。“狩り”に出かけた宿舎近くで“神ってる”現象を体験した。プレーヤー間でも、全く遭遇できないと言われているモンスター「シャワーズ」に遭遇。一部サイトでは、「本当にいるのか?」という声も挙がっている超レア度が高いモンスターだ。「ちゃんとゲットしましたよ」と一撃で仕留めるからすごい。

 誰もが出来ないことを簡単に成し遂げる山田。今や誰もが認める“セ界”のホームランマスターへと成長した。もちろん、史上初の2年連続トリプルスリーも、いとも簡単に達成するであろう。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルト山田が両リーグのトップで30号に到達。ヤクルトの選手が両リーグ30号一番乗りは12、13年バレンティンに次いで2人目で、日本人選手では球団初。二塁手の両リーグ30号一番乗りは65年スペンサー(阪急)以来2人目。2年連続で30本塁打以上を放った二塁手はスペンサー(64、65年)シピン(大洋=75、76年)落合博満(ロッテ=81、82年)に次ぎ4人目だ。トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成した10人のうち、翌年も30本塁打を打ったのは5人目。史上初の2年連続トリプルスリーへ、まずは1部門をクリアした。