日本ハム大谷翔平投手(22)が3安打の固め打ちで、ソフトバンクの優勝マジック点灯を阻止した。1回1死二塁の好機に、中前へ先制適時二塁打を放つと、5回にも決勝点の起点となる右前打など、14試合ぶりの猛打賞。規定打席に達していない中で、打点は50に到達した。チームはソフトバンクとのゲーム差を0・5とし、6年ぶりに対戦カード勝ち越しを決めたが、残り31試合、マッチレースは続く。

 大谷のバットが、ソフトバンクの優勝マジック点灯を許さなかった。先制打を含む3安打。「短期決戦みたいな感じだった。雰囲気的にも楽しめました」。緊迫した状況を、モチベーションに変えた。

 「必勝」の決意を、姿で示した。1回1死二塁の先制機。2ボール2ストライクから、6球連続ファウルで粘った。ソフトバンク岩崎の150キロを超える速球と落差のあるフォーク。「真っすぐはファウルでいい」。根負けせず、最後は初めて投じてきた116キロのカーブを打ち返した。

 打球はやや右よりの中前で弾んだ。中堅・柳田の守備位置が左中間側後方へ寄っていたこともあり、ノンストップで一塁を蹴った。「(柳田の)動きも見ましたし、捕球体勢も見ました」。大きなストライドを伸ばして、単打性の打球で先制二塁打。塁上でガッツポーズをつくり、ベンチへ向けて突き出した。

 19日の初戦で敗れた後は、中田、近藤、杉谷らと食事をともにした。広島遠征で家に招いてくれた中田の母香織さんが札幌入りしていたタイミングだったことで集まったものだが、天王山初戦に敗れた悔しさを、チームメートで共有する絶好の機会にもなった。「たとえ(相手に)マジックがついても、ゲーム差は変わらない。(最後に順位を)逆転できれば、それが一番いい」。チーム内には、一喜一憂せずに、頂点だけを見つめる共通意識がある。

 ソフトバンクとは再び0・5ゲーム差。試合消化には偏りがあり、残り31試合で直接対決は2試合しか残されていない。栗山監督は「より一層、相手を気にせずにやっていく。最後までこの形が崩れないように食らいついて、最後に勝負がつくように、目いっぱいついていきます」。「打」で存在感を見せる大谷も、この日の試合前にはブルペンで約50球を投げ、登板復帰を目指している。「落とせない試合ばかり。使われたところで結果につなげたい」。夏よりも、熱い9月にする。【本間翼】

 ▼大谷が今季7度目の猛打賞(すべて3安打)を記録した。大谷が猛打賞を記録した7試合でチームは5勝2敗、42得点19失点と、大谷のバットが打線に着火した格好だ。プロ初猛打賞は14年3月30日オリックス戦の3安打で、21日が通算9度目。1試合4安打以上はない。