叱責(しっせき)、反省、勉強…。阪神藤浪晋太郎投手(22)がプロ入り最短の1回でKOされた。チームは4連敗で、今日31日にもリーグ優勝が完全消滅する瀬戸際。藤浪は満塁弾を許すなど8安打で7失点と散々。ベースカバー遅れなどを福留に注意され、試合中はベンチ最前列に立ち尽くした。金本監督は4年目の伸び悩みに教育の必要性を再認識した。

 藤浪は帽子を取り、直立不動で立ち尽くしていた。2回表2死。向かうはずだったバッターズボックスには代打森越が立っている。自己最短の1回7失点KO直後。三塁側ベンチ奥に立ち、鬼の形相でまくし立てる福留の言葉にうなずき続けるしかなかった。

 藤浪 投げること以外にも、やるべきことをしっかりやれ、と言われました。野手の方々、リリーフの方々に迷惑をかけてしまって申し訳ないです。

 1回裏。信じ難いメッタ打ちを食らった。1番大島は154キロで詰まらせながら遊撃内野安打。四球にパスボールが絡み、無死二、三塁で3番森野。内角150キロを詰まらせたが、一、二塁間のハーフライナーに一塁原口が飛びつき届かない。二塁大和がさばくも一塁ベースは無人だった。打球が抜けた場合に備えて本塁に向かおうとしたのか、藤浪の一塁へのスタートが遅れた。適時内野安打で先制点を献上。深すぎる落とし穴にはまった。

 藤浪 全体的にボールが高かった。早く1つアウトがほしいとか、焦った部分もあった。うまく変化球で打ち取ろうとか、いらない欲も出てしまった。

 5番平田の適時打から3連打で1死満塁。8番杉山には真ん中カットボールを左翼席まで運ばれた。結局、1回だけで打者13人に53球を要し、自己ワーストの1イニング被安打8&7失点。4年目で初のシーズン2ケタ黒星を喫した。チームは4連敗となり、今日31日にもV消滅の危機。指揮官は敗戦の責任を大黒柱と分かち合った。

 金本監督 彼の厳しい現状というのか、なかなか思い通りに投げられていないのかな。何とかしようというのは伝わってくるけど、彼はそれだけではダメな立場だから。でもまだまだ大学4年生で発展途上。今のうちにチームとして教育していかないと。僕も反省するところはあるし。気づいたことを言っていかないといけないのかな。

 CS進出に向けた大事な一戦を壊した。降板後の8イニング、ベンチの椅子に腰かけることなく最前線に立ち続ける姿があった。

 藤浪 声を出す以外に、何もできないので…。

 次回は中6日で9月6日巨人戦に先発予定だが、今回早期降板したこともあり、間隔を詰める可能性もゼロではない。もう、仲間を、ファンをガッカリさせたくはない。【佐井陽介】

 ▼今日31日にも阪神の優勝が完全消滅する。阪神が●なら首位広島の勝ち負けにかかわらずに逆転することが不可能になる。また広島が○か△なら阪神は○△でも完全にV逸となる。

 ▼阪神藤浪が1回裏に7失点し、2回表に代打を送られた。藤浪の1イニング7失点は自己ワーストとなった。これまでは15年6月3日ロッテ戦の7回に6失点したのが最多だった。1回で降板もワースト更新で、過去は14年5月20日オリックス戦の2回(1回、2回に3失点ずつ)が最短だった。

 ▼藤浪の初回の失点は今季10度目(22試合登板)。初回失点合計は23点となり自身ワースト。続く2回の9点と大きく開いている。

 ▼藤浪はプロ4年目で初の10敗目。1年目から昨季までは6敗、8敗、7敗だった。

 ▼藤浪が満塁弾を浴びたのは14年4月8日DeNA戦のブランコ以来、2本目となった。