広島優勝に貢献したもう1人のベテランも感慨に浸った。新井貴浩内野手(39)は優勝が決まり、黒田に抱きつかれた。黒田の涙の振動は、顔を見なくともはっきり伝わってきた。新井も自然と涙がこぼれた。

 14年オフに広島再入団。黒田と時を同じくして、愛しつつも離れた広島に帰ってきた。チームのためにバットを降り続けた。献身的な打撃、チームを盛り上げる姿を目の当たりにしてきた若手が、新井の背中を追い、つなぎの野球を実践した。

 4月26日ヤクルト戦で史上47人目の通算2000安打。そんな日でも「(次は)黒田さんの200勝と…。あとは優勝したいね」と語ったように、ファンの、仲間の喜ぶ顔を見ることが何よりうれしい。そんな男だからこそ、誰からも愛される。その2000安打が近づいた時には「まさかあのアライさんが…。」Tシャツがつくられた。

 心広きバットマン。9日夜には「今日しっかり寝られるか分からない」と語っていた。プロ18年目のシーズン。感激のゴールが待っていた。