さあ、黒田で決める! 広島の優勝は、今日10日、巨人との直接対決(東京ドーム)に持ち越された。マジック1で東京入りしたナインは、都内の宿舎で待機。巨人が負けた場合に備えていたが、仕切り直して運命の一戦に臨む。先発の黒田博樹投手(41)は「ファンの前で決めたい」。待ちに待った25年ぶりの歓喜へ、男気(おとこぎ)右腕が導く。

 やはり運命なのか。マジック1で迎えた9日。巨人が勝ったため広島の優勝は持ち越しとなった。これにより25年ぶりの歓喜に導く権利は、運命に導かれるように黒田のところに転がってきた。今日10日の巨人戦(東京ドーム)に先発。「ファンの方の前で決めたい」と意気込む右腕が、ゴールテープを切る。

 長い1日だった。午前11時からはマツダスタジアムで投手練習に参加。通訳を交え、ボールを握ってヘーゲンズと身ぶり手ぶりで意見を交換。立ち投げではヘーゲンズを立たせ、ヘーゲンズの立ち投げの打席にも立った。ボールの握り方や配球、メンタル面を話していたという。優勝へのマジックが1になっても、黒田は黒田のまま。投球への向上心を持ち続けていた。

 ルーティンでは登板2日前に取材を終えると、前日はノーコメントを貫く。しかしそこは黒田。要望に応えて言葉を発した。独特の言い回しで意気込んだ。「やることは変わらない。背番号が変わるわけじゃないでしょ? うちが完璧に有利なのは変わらない。何かを変える必要もないでしょう」。この安心感に、チームは何度も救われてきた。

 投手練習終了後は新幹線で東京へと入った。ホームでは大勢のファンから「頑張って」と声を掛けられ、悲鳴に近い歓声を浴びた。ナインは午後7時半までに都内の宿舎に入り、ミーティング会場でヤクルト-巨人の試合をテレビで“観戦”。初回から巨人が4点を奪う展開で始まり、結局持ち越しとなったが、気持ちを新たにした瞬間でもあった。

 緒方監督は「自分たちで決められるチャンスが回ってきた。やることは変わらない。これまで通り」と今日10日の試合に向けてコメント。さあ25年ぶりの歓喜へ。黒田が直接対決で巨人を沈め、緒方監督の体が宙に舞う。【池本泰尚】