日本ハム中田翔内野手(27)が、感動の涙に暮れた。4打数無安打2三振と沈黙したが、快投の大谷らチームメートが奮闘。4年ぶりに歓喜の瞬間を味わった。

 「泣いちゃったね」。思わず、男泣きしてしまうほど胸を打った栄冠。大逆転へ向けての快進撃中には1人、打撃不振に陥るなど調子の波の激しい1年だった。

 「苦しかったね。でも、栗山監督を優勝監督にしたかった。昨年はあれだけボロボロにやられたソフトバンクに勝てたのは、うれしい」と浸っていた。

 栗山監督も優勝インタビューでは優勝要因の1つに「翔の打点」と名を挙げた。100打点は4番の仕事を果たした証しでもあった。シーズン通して主砲としてもがきながらチームを支えた。

 9年目で自身3度目のリーグ優勝。入団2年目の09年は2軍暮らしが多く、12年は全144試合で4番に座ったが、稲葉、金子誠らベテランにけん引されての頂点。今年は不動の中心選手として、チームの先頭に立って鼓舞する立場だったが、思い通りにいかないシーンも多かった。

 好機での凡打に「(打撃の)内容が個人的に腐っている」と吐き捨てるように言ったことがある。いい角度で上がった飛球の失速に「あれが入らなかったら4番失格や」と力なく話したこともあった。フラストレーションをため、悔しさをベンチであらわにしたシーンも一度や二度ではない。

 6月27日西武戦では、2死一、二塁の好機で代打矢野を送られた。栗山監督は試合後に「腰の張り」と説明したが、3打席無安打で迎えた4打席目、札幌ドームのファンもざわつく交代だった。

 期待が大きいだけに、本塁打数こそ伸び悩んだ感はあるが、それでも3年連続の100打点をクリア。個人記録には「そんなん、どうでもいい」と目を向けず、フォア・ザ・チームを強調。要所で勝負強さを発揮し勝利に導いてきた。4番として苦しんだ分だけ、たどり着いた喜びもまた格別だった。