エル×エル×もう一丁エル! 広島のブラッド・エルドレッド外野手(36)が日本シリーズ記録に挑み、32年ぶり日本一に王手をかける。「SMBC日本シリーズ2016」で第1戦、第2戦とマツダスタジアムでソロ本塁打を放ち、連勝に貢献。今日25日の第3戦でもアーチをかけて3戦連発とすれば、03年阪神金本以来5人目のプロ野球タイ記録だ。カントリーがぶっ飛ばし、日本一に大前進する。

 24日、広島空港の待合室。エルドレッドはジャケットを脱いでいただけでなく、シャツをまくって太い腕をあらわにしていた。燃えているのだ。

 第1戦、第2戦でともにソロを放ち、打撃は絶好調。寒い敵地も関係ない。「カントリー」の愛称で親しまれる心優しき助っ人が、チームを助ける。プロ野球記録に並ぶ3戦連発に話題が及ぶと、こう言った。

 「そうなのかい? それなら記録更新は確実だね(笑い)。それは冗談だけど、チームのために打つことに変わりはない。記録を狙うということはないよ」

 まさに怪力だった。第1戦は日本ハム大谷の外角のボールに踏み込んでバックスクリーン右に放り込んだ。第2戦はもっと衝撃的だ。追い込まれてからの高めの「つり球」だった。鍵谷の直球に腕を伸ばして上からたたいた。つぶれたボールは一気に左中間スタンドへ。「打撃の調子はいいよ。思っている球を捉えられているからね」と目をぱちくり。自信がみなぎっている。

 14年に37本塁打でタイトルを獲得。好不調の波は大きい傾向にあるが、当たっている時期は手がつけられないほど打つ。飛距離を考えれば、広い札幌ドームも問題にはならない。日本シリーズの3戦連発は58年の中西太ら過去4人だけ。外国人では85年のバースしかいない。球団では初めてだ。広島の球団史に、日本球界にその名を刻むことが出来るか。「とにかく勝利を目指してやっていくよ」。まずはチームの32年ぶり日本一に主眼を置いて、バットを振る。

 今日25日からは札幌ドームでの3連戦が始まる。パ・リーグ覇者の日本ハムが、このまま終わるとは思えない。広島の先発マウンドは黒田。スタンドもベンチも、エネルギーがみなぎる。「カントリー」の猛打も呼応する。【池本泰尚】