トリよ、遊撃奪うなら圧倒的な力を見せろ! 阪神金本知憲監督(48)が6日、鳥谷敬内野手(35)を来春キャンプで遊撃スタートさせる方針を明かした。二塁、三塁構想も描いていたが、11月末の個別面談で本人の希望を確認。だが現時点では「流れは北條」と位置づけ、遊撃のスタメン奪回には抜群の結果が必要とハッパを掛けた。さあ鳥谷VS北條の決戦ゴングだ。

 鳥谷の17年スタート地点が定まった。慣れ親しんだ遊撃で走りだす。金本監督と背番号1は11月22日の球団納会前後に面談。遊撃で勝負したいという鳥谷の希望と覚悟を容認したことを、指揮官が明かした。

 金本監督 意見は聞いたけど、ショート一本でやると言っているから。それは尊重してやらんとね。

 不動だった遊撃レギュラーの座を失った今季。終盤は22歳北條が遊撃に台頭した。指揮官は来季に向け、二塁、三塁に鳥谷を置くイメージも膨らませていたが、チームリーダーの意思は固かった。いばらの道だと理解した上で、遊撃レギュラー争いに割って入る。

 金本監督 正直、今の流れは北條で来ている。(鳥谷が)圧倒的な力を見せない限り、同じぐらいだったら若いのをいくという方に向いている。それは、トリもちゃんと「分かっています」と納得の上でね。その上でショートで勝負したいということだから。

 鳥谷は現在、連続試合出場を1752まで伸ばし、球界歴代2位となる金本監督の1766試合到達が視野に入っている。指揮官は「彼が望むのであれば、(記録へ)できる限りのことはしてあげたい」とサポートを明言。ただ、遊撃レギュラー争いに関しては一切の情を排除する方針だ。

 金本監督 サードで勝負となって(ポジションに)動きがあるよりは、ショートで勝負した方がスピードも落ちないだろうし、ベストだと思うよ。ただ、(力が)同じなら優先されるのは若い方だから。いまさら(若手起用の流れを)戻してというのは大変な作業。やっぱりトリでいくとなったら、北條も去年は何やったんやってなるからね。

 遊撃争い決着の期限は未定。指揮官は「様子を見ながら、調子を見ながら。いつ判断というのはない」と説明した。レギュラー完全定着を狙う北條に、主将を返上してまで来季に懸ける鳥谷が待ったをかけられるか。「競争がチームを強くしますからね」と指揮官。35歳鳥谷VS22歳北條。背番号1対2の開戦ゴングが鳴った。【佐井陽介】

 ◆阪神今季の遊撃手争い 前年まで4年連続フルイニング出場の鳥谷が、開幕から定位置についた。だが打率2割3分1厘の不振に加えて守備でも精彩を欠くと、7月24日広島戦(マツダスタジアム)でついに先発落ち。全イニング連続出場は667で止まり、スタメン遊撃には大和がここから2試合入った。同27日には北條が初めて遊撃で先発出場し、8月2日DeNA戦(横浜)まで6試合連続出場。その後、鳥谷が同3日DeNA戦(横浜)で奪還して8試合連続スタメン。だが北條が同12日中日戦(京セラドーム大阪)で返り咲き、シーズン最終戦まで先発遊撃を守り抜いた。