中日白井文吾オーナー(88)が森新監督の誕生秘話を明かし、最下位から優勝への期待を寄せた。4日、名古屋市内で球団年賀式を行い「若干ぶちまけた話を」と20分間熱弁した。

 昨年9月に次期監督の選考で1人悩んでいるさなか、2年ほど前に知り合いの高僧にもらい、自宅の床の間に飾っていた掛け軸に書かれた「明珠在掌」の文字を思い出した。「毎日見ていたがあまり気に留めていなかった。そうか(宝物は)もう手のひらにあるんだな」と、監督代行からの昇格を決めたという。

 オーナーは「なぜ明珠なのか」と続けた。コーチ時代に独特の指導をしていたことを思い出し、それ以来、言動を注目してきたと説明。「外科医とそっくりな傾向を持っている。理詰めにものを考える人。総合して、分析するクセがついている。Aクラスになるように相当細かい手を考えている」と賛辞を並べた。

 乾杯の音頭をとった西山球団代表はこの日、指揮官と電話した。「監督は大口をたたかない人だが『準備はできた』と言っていた。2位ではダメ。優勝しないといけない。新しい歴史を作る年にしたい」と口調を強めた。【柏原誠】