強打者問題、解決します! ソフトバンクのドラフト1位田中正義投手(22=創価大)が8日、福岡・筑後市の若鷹寮に入寮した。持参したのはコナン・ドイルの人気推理小説「シャーロック・ホームズシリーズ」9冊。主人公の探偵ホームズのような鋭い観察眼や洞察力を身につけたい願いが込められている。ホームズ田中が打者、走者との駆け引きを優位に進め、1年目からの大活躍を目指す。

 スーツ姿で若鷹寮に到着した田中が手にしていたのは、野球道具ではなく文庫本だった。姉萌菜美さん(25)から、入団祝いでプレゼントされた「シャーロック・ホームズシリーズ」の文庫本9冊。ライバル球団の強打者問題を解決するための“重要参考文献”だ。

 「姉に貸してもらって読んだら面白かったので、もう1度、一から読み直そうと思った。(主人公)ホームズの性格、キャラクターやワトソン先生との独特の関係が好き。彼はすごいですよね。あれくらいの洞察力があったらいいですね」

 数々の難解な事件を解決していく探偵ホームズ級の推理、洞察力を身につければ大きな武器になる。打者がここぞの勝負どころで何を考えているのか、どの球種を待っているのか。それらを感じ取ることができれば、おのずと勝負を優位に進めることができる。寮に送った荷物は段ボール5、6箱と、他の選手よりも少なかった。グラウンド外の時間も、野球につなげようという高い志の表れだった。

 大学野球部のブレザーではなく、「成人式とその後、2、3回着ただけ」というスーツ姿での入寮。「野球部は引退したので、もう社会人かなと思って」。卒業式はまだでも、すでにプロとしての自覚は十分だ。

 昨年までの新人は西戸崎で入寮式を行っており、筑後のファーム施設で入寮式を行うのは田中の代が初めてだ。練習施設に最も近い201号室が与えられたドラ1右腕は「(自分以外は高校生の)同期入団のお手本にならないといけないけど、やりたいようにやればいいかなと思う」と、早くも大物ぶりを漂わせた。

 6日には大学で約2カ月ぶりにブルペン入り。捕手を立たせて約20球を投げたという。「キャッチボールよりも少し強めに投げた。ボールもよかったので、特に不安はないです」。今日9日に始まる新人合同自主トレで、156キロ右腕がベールを脱ぐ。【福岡吉央】

 ◆シャーロック・ホームズ アーサー・コナン・ドイルが書いた推理小説「シャーロック・ホームズシリーズ」の主人公で架空の名探偵。ロンドンのベーカー街に住み、相棒のワトソン医師と数々の難事件を解決していく。冷静沈着な性格で、天才的推理力を持つ。