ソフトバンク育成の伊藤大智郎投手(24)が8日、悲壮な覚悟を明かした。「今年が最後。何としても支配下選手にならないと」。10年入団の伊藤大は育成契約選手としては球界最長の7年目だ。「育成で8年なんてありませんからね。情けないけど、頑張らないと…」。約5時間の練習を終えてファーム施設を後にした時、入れ替わるように即戦力ルーキー田中を乗せたワゴンが若鷹寮に到着した。

 夢の世界に胸躍らせる新人たちとは違い、伊藤大には時間がない。「この6年間、早かったですね。1年目は長く感じたけど、あっという間でしたね」。今年7月末までの支配下登録がリミットと肝に銘じている。

 手応えはある。昨秋のキャンプで悪癖の左膝の開きを修正。工藤監督から指示されたネットスローも続けてきた。結婚もして、昨年10月には第1子も誕生した。頼れるパパの存在感を今季こそ見せつけたい。

 育成入団だった同期・千賀は2ケタ勝利を挙げ、先発ローテ入りを手にした。今オフには千賀からアドバイスも受けた。明日10日からはブルペンに入る予定。夏までには背負い続けた「127」の背番号とは決別する決意だ。【佐竹英治】

 ◆伊藤大智郎(いとう・だいいちろう)1992年(平4)12月29日生まれ、岐阜県出身。愛知・誉(ほまれ)高から10年育成3位でソフトバンク入団。6年目の昨年3月12日、巨人とのオープン戦(ヤフオクドーム)で1軍デビュー。右横手から最速139キロの真っすぐで押し、藤村、亀井、橋本の左を9球で抑えた。工藤監督も「制球力を上げれば1軍で通用する」と期待。176センチ、70キロ。右投げ右打ち。