大谷流も吸収。広島鈴木誠也外野手(22)が10日、マツダスタジアムに隣接された屋内練習場で自主トレを行った。マシンを相手に日本ハム大谷翔平外野手(22)が練習で行う打法などを取り入れながら約40分間、バットを振り込んだ。昨季ブレークしたバットマンに、慢心など一切ない。

 不自然な形が、新たな感覚を呼んだ。鈴木はボールを捉えた瞬間、軸となる右足を蹴り上げ、踏み出した左足1本に重心を預けた。1度だけではない。何度も繰り返した。日本ハム大谷が練習で取り入れている打法で、昨年12月から取り入れた。見た目の違和感に反し、鈴木は好感触を得ていた。

 「完成はないと思っている。自分がやってきたことがすべて正しいわけじゃない。いい打者がやっていることをまねしてみることはいいこと。翔平は全部(の重心を)こっちに持っていく意識づけと言っていたけど、僕は左膝が開かなくなった」

 しっかりと左膝に壁を作らなければ、全体重を支えられない。昨季中、試合で感じたことを記してきたノートには何度も「体の開きが早くなる」とあるだけに「1つの引き出しとして、シーズン中に悪くなったときに使えるかもしれない」と大きくうなずく。

 昨季は体重約90キロの肉体で飛距離が伸び、スピードも落ちなかった。「自分の完成図は分からない」と今オフも筋力強化で5~6キロ増。春季キャンプでの減量を見越した体重95~96キロは自己最重量だ。

 3月にはWBCを控える22歳は、変化を恐れない。大谷流の練習法だけでなく、打撃マシンに正対した状態での打撃や、左足を伸ばしたまま右膝を立てた状態での打撃など試行錯誤。マシンと向き合った40分間の打撃練習は時間以上の濃密さだったに違いない。「土台は変わらない。枝葉の部分。引き出しが増えればいい」。打撃の完成図もまだ見えていない。【前原淳】