西武辻発彦監督(58)が、1軍キャンプ帯同を皮切りに「今井主力化計画」を進める。18日に新人合同自主トレを視察。作新学院から江川卓氏(61)以来のドラフト1位、今井達也投手(18)がブルペンで投球練習する様を初めて見届けた。今日19日の球団全体会議で2月のキャンプでの1軍、2軍の振り分けが決まるが、新指揮官は今井を1軍に推す考え。エース菊池、主砲中村ら主力から学ばせ、1日も早い1軍デビューにつなげさせるつもりだ。

 期待が確信に変わった。18日午前、西武第2球場。辻監督は、準備運動を終えた今井がブルペンに入るのを確認すると、その背中を追った。捕手を立たせたままの40球。まばたきすら惜しむように、しなやかで美しいフォームに見入った。

 室内練習場から出てきた指揮官は「楽しみですね」と深くうなずいた。

 辻監督 遠投とかを見ていた時点で、持っていると感じていた。今日は本人としても六分程度の力の入れ方だと思うけど、それにしてもバランスがいい。フォームの崩れがない。

 前日も今井がブルペンに入る可能性を聞き付け、西武第2球場を訪れていた。2日越しの初視察。待ったかいはあった。今井本人は「監督がいらっしゃって緊張感もあった。悪くもなかったけど、良くもなかった」と慎重だったが、辻監督は渡辺シニアディレクター兼編成部長とも「やっぱりいい」と確認し合った。今日19日の全体会議で、あらためて今井を1軍に推す。

 キャンプではオープン戦で登板できるコンディション、体力づくりもテーマだが、辻監督は「キャンプにはもっと意義がある」と言う。1軍にはベテラン投手も、主力の野手もいる。一緒に練習をし、寝食をともにしておくことで、得られるものは多い。

 主力を見て勉強する。自分はまだまだだと危機感を持つ。年長者とコミュニケーションを取る。「そういう経験は必ずプラスになる」と辻監督は強調する。キャンプでは、今井の投球数や負荷を慎重に制限する方針だが、一方で「3年、4年と待つつもりはない」とも。「あれだけの素材、1日でも早く1軍で活躍できるようにするべき」と早期デビューの青写真も描く。

 キャンプ1軍帯同なら、高卒ルーキーとしては10年の菊池以来。キャンプ自体の注目度アップという波及効果も期待できる。辻監督は最後に、右手で何かをぐっと持ち上げるようなしぐさで、今井を1軍に上げたい考えをアピールした。【塩畑大輔】

<過去の西武高卒投手1年目>

 ▼82年工藤公康 プロ1年目からリリーフとして活躍。日本シリーズにも出場。

 ▼84年渡辺久信 6月下旬に1軍登録され、デビューから10戦目に自らの完投で初勝利。

 ▼99年松坂大輔 「怪物」としてキャンプから大注目。最終的に最多勝を始め、新人王、ベストナイン、ゴールデングラブなどのタイトルを総なめにした。

 ▼05年涌井秀章 当時の伊東監督から開幕ローテ入りへ抜てき。しかし初登板試合で満塁本塁打を含む7失点で敗戦投手。

 ▼10年菊池雄星 プロ入り前はメジャー球団も注目。初ブルペンで「1軍で通用する」と言わしめるも、5月に左肩痛を発症し登板なしに終わった。

 ▼15年高橋光成 同郷の渡辺SDが「オレの1年目より全然上」と、べた褒め。8月のデビュー以降、5連勝を含む活躍で8月の月間MVPを獲得した。