鳴尾浜での自主トレで室内打撃を視察し、素材の良さは確認していた。それでもキャンプ前には、新人選手は慎重に練習させる方針を掲げていた。能力の高さが、プランの軌道修正を強いた。新人野手がキャンプ初日に特打に取り組むのは、03年自由獲得枠の鳥谷くらいしか例がない。大山はフリー打撃と特打で合計162スイングし、12本の柵越えを記録した。

 「(監督の指導で)すごくいい感じの打球が飛んでいたので、しっかり続けていくことが大事。忘れないように、この後の時間を使っていきたい。雰囲気だけで終わらない選手になりたい。結果を残せる選手になりたい」。指揮官の絶賛を伝え聞いても、表情を緩ませることはなかった。

 金本監督は力を込めて言った。「実戦で、対応力がどのくらいのものか見てみたい。紅白戦で使うでしょう。ケガがなかったら」。当初よりも前倒しで、8日の紅白戦に実戦デビューする可能性が浮上。将来の大砲候補がわずか1日で、評価を急上昇させた。【田口真一郎】