山田さん、お先です。ヤクルト2年目の「山田2世」広岡大志内野手(19)が、今季初の対外試合で“チーム1号”本塁打を放った。13日、沖縄・浦添市で行われたハンファ戦に「7番三塁」で先発し、3回無死から左翼席に運んだ。昨季はセ・リーグの高卒新人では56年ぶりとなる初打席初本塁打をマーク。若手のホープとして、一躍遊撃手のレギュラー争いに名乗りを上げた。

 心地いい陽気に包まれた浦添市民球場に、高々とボールが舞い上がった。3回無死、ニュースター候補の広岡が、憧れの山田のように高くバットを掲げる構えから、左足を大きく踏み出した。183センチ、81キロの恵まれた体から生み出すパワーを、持ち前のフルスイングに込める。長い手足から、ホームランバッターらしい大きな放物線で、“チーム1号”をたたき込んだ。

 昨季は引退したDeNA三浦大輔氏の引退試合で、セ・リーグでは高卒新人56年ぶりの初打席初本塁打を放ち、この日はチーム初実戦で初本塁打。持っている男は「自分のスイングをしようと思って打席に立った。その結果です」と喜びをかみしめた。

 オフ期間はメキシコ、台湾のウインターリーグで武者修行し、1月は山田らとともに愛媛・松山で自主トレを行った。キャンプ中は、山田を指導する杉村チーフ打撃コーチから、徹底指導を受ける。杉村チーフ打撃コーチは「山田の2年目や池山の19歳の頃より飛ばす。ホームランバッターの打球。田淵さんのよう」と、プロ通算474本塁打を記録した名スラッガー、田淵幸一氏を引き合いにしてたたえた。

 広岡は、この日は三塁で先発したが、本来は遊撃手。大引、西浦らとのレギュラー争いに挑んでいる、真中監督は「勝負ですから。(レギュラーを)最初から決め付けることはしない」と、チーム内の競争激化を歓迎。二塁山田、三塁川端に加えて、高卒2年目野手がレギュラーをつかめば、勢いのあるフレッシュな内野陣になりそうだ。

 試合後は特打を行い、夜間練習まで連日クタクタになるまでバットを振り込む。周囲は絶賛する本塁打だったが「力んでバットを下から出してしまった。もっと上から振りたい」と反省を忘れない。メモリアルな1発にも、浮かれず騒がず、精進を続けていく。【前田祐輔】

 ◆山田と広岡のプロ1年目比較 山田はプロ入り1年目の11年は1軍出場はなし。2軍戦で114試合に出場し、打率2割5分9厘、5本塁打、39打点、17盗塁だった。広岡は打率、盗塁数では劣るものの、山田の倍となる10本塁打をマーク。長打の多さで山田を上回った。