3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の阪神藤浪晋太郎投手(22)が13日、WBC仕様の投球を披露した。沖縄・宜野座球場でチーム初対外試合となるDeNAとの練習試合に登板。視察した小久保裕紀監督(45)の前でツーシームなど変化球を四隅に決める新スタイルで2回パーフェクト、2奪三振と好投した。球数も24球だけ。球数制限のあるWBCで大きな意味を持つニュー藤浪だ。

 ニュー藤浪が侍ジャパンの指揮官を驚かせた。3回。先頭打者の関根にカウント2-2から148キロを詰まらせて投ゴロ。続く桑原も147キロであっさり二ゴロに打ち取った。関根の打席で記録したこの試合最速の153キロとは違い、微妙に変化する球種。その正体はツーシームだった。

 藤浪 今日は(直球系の)8割くらいはツーシームでした。自分としても今までにない感じで投げました。(外国人には)力勝負ではかなわない。もちろん、スピードのあるボールも必要ですけど。今日は本当にいい登板だった。

 「大人の投球」だった。昨年11月の強化試合(対オランダ)では力勝負を挑みスタンドインされる場面もあった。この日は前回8日の紅白戦と同じように2番手として3回から登板。無理に直球で押すことなく、変化球で打ち気をそらすなど工夫を凝らした。

 2イニングで24球を投げて無安打、2奪三振、ゴロアウトは3つ。球数制限のある本大会を意識するような頭脳ピッチングをさらりと披露。これにはバックネット裏の小久保監督も思わず笑った。

 小久保監督 今までの藤浪ではないイメージ、新しい藤浪という感じで、非常にまとまっていたなと。先発では考えていないんですけど、今日のような投球を、中(中継ぎ)の方でやってもらえたら勝てる確率は格段に上がる。

 指揮官は初めて藤浪に託すポジションを明言した。まずは「第2先発」として初めてのWBCに臨むことになる。藤浪は「そこは考えていない。与えられた仕事をするだけです」と静かに闘志を燃やす。23日から始まる宮崎合宿まで実戦登板は、あと1度の予定。3月の本番に向けてできる限りの準備をする。【桝井聡】