普段の柔和な表情は消え、荒々しく闘志をあふれさせた。倉野コーチは「今日は気持ちが結果以上に見えた。スケールの大きな投手になってほしいので、まだ満足はしていませんが」とメンタル面での成長を評価した。昨秋キャンプからインステップの悪癖を修正。投手板の踏む位置も一塁側から三塁側に変え、球威が増すよう取り組んでいる。

 初のA組(1軍)に抜てきされた今キャンプの2日目、ノックのボールが左目を直撃。目の周りは青くアザになった。「腫れて(目が細い)師匠に顔も近づけましたよ」と、先輩の武田を笑わせた。武田からはプライベートでもかわいがられ、2年連続2桁右腕の技や考え方も伝授されている。

 5、6番手の先発争いは激しさを増している。昨年9勝の東浜、ベテラン摂津、松坂、若手もドラフト1位田中とライバルは多い。それでも、最速154キロ右腕の評価は高まるばかりだ。工藤監督は「投手陣は(開幕1軍は)最大13人だが、次もチャンスはある」とうなずいた。1年間じっくりファームで育成された高橋が、その真価を発揮しはじめてきた。【石橋隆雄】