粘った。ロッテのドラフト1位、佐々木千隼投手(22=桜美林大)が19日、紅白戦でプロ初実戦。白組(1軍)2番手で3回から登板した。死球と二盗に自らの暴投が重なり、2死三塁。左の根元を迎えた。実績のある好打者にも引かない。「内を攻めないとダメ」と、カウント2-2からこの日最速148キロを突っ込みファウル。最後はフルカウントから、外にシンカーを落とし、空を切らせた。

 持ち味を出したが、過程を反省した。「1イニング目は緊張して力みが出て、体重移動も速くなってしまいました」と表情を崩さずに言った。打者4人全て、3ボールまで行った。二盗はクイックのスキを突かれたもの。一方で、修正能力も発揮した。1死一塁で迎えた吉田は、最初は3球連続ボール。ここで、捕手の田村から「テンポが速くなっている。ゆっくり投げろ」と言われ、落ち着いた。一転、外に3球連続直球で見逃しストライクを奪った。イニングが変われば、さらに修正。4回はストライク先行で3者凡退だった。

 終わってみれば、2回無安打無失点で3奪三振。数字は上々も「空振りをあまり取れなかったし、際どいところもファウル。アマチュアと違う。1つ1つ球種の精度を上げないと、勝てる投手にはなれないと思います」と内容にこだわった。一貫しているのは、質を求める姿勢だ。キャンプ序盤はブルペンで思うような球が投げられず、キャッチボールから見直した。上向く、きっかけをつかんだ。

 伊東監督からは「次は、左打者をシンカーとは違う球種で抑えろ」と宿題をもらった。23日からの沖縄本島4連戦で対外試合デビューの見込み。「もっともっと、良い投球ができるように」と誓った。課題があることが、むしろ前進のきっかけとなる。【古川真弥】