クリーンアップはお任せだ! 阪神高山俊外野手(23)が19日、練習試合日本ハム戦(宜野座)で苦手克服で進化を発揮した。弱点だった内角球を右翼線へ二塁打するなどマルチ安打。紅白戦を含む実戦通算は17打数7安打で、打率4割1分2厘と絶好調だ。今年の実戦5試合はすべて3番出場で好結果。17年金本阪神の中軸を担う期待が高まる。

 高山が宜野座で進化の跡を刻んだ。1点ビハインドの9回先頭。1ボールからの2球目。日本ハム石川直の投じたのは、昨年まで苦手としていた内角球だ。だが、高山は145キロ直球にくるりと反応。しっかりとさばいてライナー性の右翼線二塁打とし、土壇場の同点を演出した。

 「あの場面でしっかり打てたのは良かったんじゃないですかね」

 内角に詰まることなく引っ張り込んだ背番号9に、大きな拍手が湧いた。二塁上で涼しい表情を浮かべる姿は、昨シーズンとはまるで別人だ。昨年は開幕直後は好調も、5、6月には相手バッテリーの執拗(しつよう)な内角攻めにあい、調子を大きく落とした。対策は昨年の秋季キャンプ以降も金本監督や片岡打撃コーチと反復。今キャンプでも継続し、打つポイントを前にして、差し込まれないスイングを徹底してきた。9回に内角をさばいて生まれた安打は、鍛錬の成果そのものだった。

 ただし、金本監督は求めるものが高いゆえに少し辛口だった。「最後だけでしょ。その前はやっぱり差し込まれていたね」。それでも「差し込まれてもヒットにできるのは長所でもある。懐の深さというか、押し込みの強さというか。それがないとできないから」と技術の進化にうなずいた。

 紅白戦を含めたキャンプ実戦成績は17打数7安打で打率4割1分2厘。それも全5試合3番で出場し、好結果を残してきた。今後、福留や鳥谷、糸井らが参戦してきても、中軸を打ってもおかしくない成績だ。ヤクルト衣川スコアラーは「(4番打者も)将来的にはあるかと思う」とスピード成長に驚いた。

 初回はセ・パ新人王対決も制した。昨季パ・リーグ新人王の高梨から右前打を放ち、セ・リーグ新人王の実力を披露。内角をさばければ、隙はほとんど見当たらない。2年目のジンクスを感じさせず、高山が17年猛虎打線の中心を担う期待が高まる。【梶本長之】