進退を懸けたシーズンに臨む19年目の中日岩瀬仁紀投手(42)が、初実戦で新球に手応えだ。23日、練習試合の韓国・ネクセン戦(北谷)の3回に2番手で登板。安打や死球で無死満塁のピンチを招いたが、3番の左打者への外角へスライダー系の「名もなきボール」を投じ二ゴロ併殺に斬った。1点は失ったが「あの1球は良かった」とホッとした表情で振り返った。

 自称「名もなきボール」は、スライダーとカットボールの中間のように小さく曲がる新球で、オフから習得に励んできた。通算402セーブを積み上げた大きな曲がりの宝刀スライダーは封印。「今年は例年とは違う。球種が全然違う。力が入ったね」。並ならぬ思いを抱き、初の対外試合のマウンドで奮投した。

 本来は右打者の懐を狙う球だが、「投げづらいというのはあった。でも左にも使えるようにしていかないといけない」。4番と7番以外、左打者が並んだ相手に苦戦もしたが、感覚さえマスターすれば、左打者にも有効なことも分かった。

 昨年の春季キャンプは終盤にインフルエンザに感染し、実戦登板は3月中旬にズレ込んだ。だが今年は順調に沖縄で投げることができた。友利投手コーチは「あの球は使える。今は投げられているだけで十分。(今年で)43歳が2月に投げているんだよ。十分でしょ。来月から結果を求めていけばいい」とうなずいた。岩瀬は「うまく開幕までに、理想とするかたちに近づけていきたい」。完全復活をサポートする強力兵器になりそうだ。【宮崎えり子】