DeNAドラフト9位の佐野恵太内野手(22=明大)が、重圧に打ち勝った。楽天とのオープン戦に9番左翼で先発。2回1死二、三塁のチャンスで「四球になるより打ってやろうと、直球を待っていた」とカウント3-1から高めの直球を中前へ運ぶ2点適時打を放った。チャンスを広げるよりも仕留める決意が功を奏した。地元・岡山での凱旋(がいせん)試合で、開幕1軍を引き寄せた。

 3つの重圧があった。地元とあって両親、祖父母、妹のほか友人が来場し、50人の応援団が三塁側に陣取った。さらに、倉敷での楽天主催試合で、楽天の星野球団副会長が来場。明大の大先輩に試合前、緊張の面持ちであいさつへ向かった。1軍当落線上で結果を残さないといけない立場。重圧に打ち勝ち「今までとは違った喜びがあります」と喜んだ。

 この勝負強さにラミレス監督から「シーズンでピンチヒッターとして使えるメドがたった」と、左の代打の切り札として開幕1軍“内定”をもらった。

 伯父で、走攻守3拍子そろった名選手・佐々木誠氏(ソフトバンク3軍監督)が生まれ育った倉敷。受け継ぐDNAの原点の場所で、佐野は「毎日結果を残さないといけない。がむしゃらに取り組んでいきたい」。セ・リーグでは指名順位最下位。成り上がりストーリーは、倉敷でさらに加速した。【栗田成芳】